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野口英世記念館
(猪苗代町)
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深い愛情込めたシカの手紙展示
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野口博士に対する関心が高まり、記念館や生家を訪れる人たちが増えてきた |
野口英世(1876−1928)の肖像が描かれた新千円札が来年7月に発行される。紙幣の印刷もすでに始まった。人々の英世に対する関心は日に日に高まっている。
11月は英世と母シカ(1853―1918)にとってゆかりが深い。英世は9日に生を受け、シカは10日、彼岸に旅立った。
英世の生家が保存され、業績が紹介されている猪苗代町の野口英世記念館には大勢の英世ファンが訪れる。記念館の中で来館者が必ずといっていいほど足を止め、じっと見つめるコーナーがある。
そこにはシカが米国を中心に世界的に活躍する英世にあてて書いた手紙が展示されている。
「おまイの。しせ(出世)にわ。みなたまけました。わたくしもよろこんでをりまする。(中略)
はやくきてくたされ。いつくるトおせてくたされ。これのへんち(返事)まちてをりまする。ねてもねむられません」
息子の出世を喜びながらも一目だけでも早く会いたい、と願う年老いた母親の気持ちが伝わってくる。シカは幼いころに習った文字を懸命に思い出しながら何度も練習し、やっとの思いで書き上げたという。
確かに文字はつたなく、たどたどしいが、1つひとつの言葉の中に子を思う母親の気持ち、愛情がこれほど深く感じられる手紙はめったに目にすることはない。
シカの手紙にちなみ、心の手紙コンテスト「母から子への手紙ーあなたに伝えたい想いがある」が2002年からスタートした。
コンテストを主催する猪苗代町絆(きずな)づくり実行委員長の八子弥寿男野口英世記念館長は「いつの世でも子どもを思う母親の愛情ほど心打つものはないと信じている。コンテストの応募作品はどれも感動的です」と話す。
生家のすぐわきには静かに流れる小川がある。英世がやけどをしたとき、シカが洗い物をしていた所だ。家からの距離は意外に近い。ただ、いろりに落ちた子どもの叫び声を聞いた母親にとってはどれだけの距離があったのだろうか。
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行ってみよう! |
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磐越自動車道猪苗代磐梯高原インターから国道49号に入り、会津若松市方面に向かい車で約5分。JR磐越西線猪苗代駅下車で、バスで約10分。記念館は国道49号の道路沿いに立つ。入館料は大人500円、子ども200円。問い合わせは、電話 0242・65・2319。 |
<32> 2003.11.07
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