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大安場古墳
(郡山市)
東北地方最大級古代ロマンの夢
大安場古墳
被葬者の権威を象徴するようにそそり立つ大安場古墳。西側には郡山市の市街地が一望できる
 郡山市東部に位置する大安場(おおやすば)古墳は、古墳時代前期(4世紀後半)に造られた東北地方最大級の前方後方墳。全長83メートル以上で、南東北地方における古墳の築造の在り方を探る上で貴重であることから2000(平成12)年9月、団指定の史跡として認可された。 
 1991年春。「中世城館の堀らしきものがある」と聞きつけ、雑木が繁茂した山林に最初に調査に入ったのが、郡山市埋蔵文化財発掘調査事業団の柳沼賢治さん。
 「頂部都は平面が四角のようだし、あの形はどう見ても古墳だった。立木にメジャーを縛り付け、端から端までを計測したら52メートル。両すそまでの距離を加えると70メートルは超えるだろうと思い、足震えた」。柳沼さんは発見当時の驚きと善びを振り返る。
 中通り地方で古墳時代前期の大型古墳が見つかったのは唯一。郡山市周辺に大型古墳はなかった、というのが定説になりかかっていただけに、大安場古墳の発見は意義のあるものだった。
 一番高いところには大型の木棺が納められていたとみられ、中からば腕輪形石製品の「石釧(いしくしろ)」や大刀、剣、農耕具などの副葬品が出土。これらは県指定文化財として答申を受けている。
 中でも、淡いエメラルド色をした緑色凝灰岩製盤の石釧は東北地方では極めて珍しい出土例。北陸地方で作られ、近畿地方の有力豪族からこの古墳の主に贈られたものと考えられている。腕輪の形をしているが、発掘された場所から宝器だという。
 大安場古墳は標高約250メートルの丘陵を生かして造られており、西側には悠久の流れをたたえる阿武隈川や郡山市街地を一望できる。周辺の平地から古墳を見上げると、被葬者の権威を象徴するかのように、そそり立っている。
 この古墳の主はこの時期、阿武隈川流域ほとんどを治めていた有力豪族だったのだろう。そしてこの周辺には大きな集落が広がっていたのだろう。古墳の頂上に立ち、市街地を挑めると、古代ロマンに夢が膨らむ。 
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 JR郡山駅からタクシーで約25分。所在地:郡山市田村町大善寺字大安場・宿地内(桜ヶ丘団地西側)。交通:JR郡山駅前発守山経由「金屋」でバス下車(約20分)後、徒歩約10分。問い合わせは市文化課(電話024・924・2661)へ。
<5> 2003.05.02
 

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