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あぶくま洞
(田村市)
開洞30周年迎え魅力伝えるPR
あぶくま洞
国内の鍾乳洞では初めて導入された舞台演出用の調光システム。一定の時間で赤、青、黄の3色照明が自動的に変化し、これまで以上に魅力がアップした
 本県を代表する観光スポットの一つ田村市(旧滝根町)の「あぶくま洞」。1973(昭和48)年にオープンし、2003年6月1日で開洞30周年を迎える。この間、観光事業から旧滝根町の一般会計に繰り入れた額は約54億円に上り、町発展に大きく貢献してきた。
 旧滝根町は30億トンもあるという全国でも有数の石灰石の産地で、開発は大正時代の初めごろから始まった。転機が訪れたのは69年。採掘権などの問題から原石の供給ができなくなりそうになり、最後の発破をかけたところ直径約60センチの穴が現れた。それが鍾乳洞(あぶくま洞)発見の瞬間だった。
 その当時の町役場職員で、あぶくま洞オープンにカを尽<した橋本栄喜さんは「当時の滝根町は県内一貧しい町だったので、あぶくま洞は天からの贈り物だと思いました」と、発見時の町の様子を振り返る。
 オープンと同時に全国から大勢の観光客が訪れるようになり、75年には年間入洞者が100万人を超えるまでになった。しかし、それをピークに入洞者数は年々減少。ここ数年は、景気低迷などの影響もあって状況は一層深刻となった。
 こうした事態町は「あぶくま洞」の再生に乗り出し、01年10月に国内の鍾乳洞では初めて舞台演出用の調光システムを導入してリニューアルオープンを果たした。さらに、待ちの姿勢だった観光事業を改め、来洞者の割合が多い首都圏を中心に「あぶくま洞」を売り込む営業宣伝活動を積極的に展開。町民有志も観光ボランティアの会を設立して観光案内に一役買うなどの試みも始まった。
 こうした町を挙げた努力が実を結び、年間入洞者数は昨年度(約36万4000人)から増加に転換。最近では、福島空港国際線の影響で韓国などからの外国人観光客も増え始めた。
 現在、観光ボランティアの会会長を務める橋本さんは「観光客を呼び戻すには人に感動を与えることが大切。もてなしの心で入洞者に接し、町の財産であるあぶくま洞の魅力を多くの人に伝えていきたい」と話す。
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 あぶくま洞の営業時間は午前8時30分から午後5時(12月から2月までは午後4時30分まで)。周辺には星の村天文台や入水鍾乳洞、星の村ふれあい館などがある。問い合わせは、あぶくま洞管理事務所(電話 0247・78・2125)へ。
<9> 2003.05.30
 

福島民友新聞社
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