実らせたい小高の未来 夫婦でブルーベリー観光農園、2日プレ開園

相双地方で農業や若手農家の育成を行う合同会社みさき未来(新地町)の渡辺春香さん(33)と夫の大将さん(38)は2日、南相馬市小高区井田川にブルーベリーの摘み取りができる観光農園「ブルーベリーパークぴぽぱ」をプレオープンする。摘み取りは8月までの期間限定。
春香さんは元々、井田川地区で生まれ育ち、実家は稲作などの農業を営んでいた。しかし、東日本大震災による津波と福島第1原発事故の影響で、家族は避難を余儀なくされた。
震災後、春香さんは東京で就職。しかし、新地町に避難していた父三浦広志さん(62)から、避難指示が解除された井田川地区が「可能性があふれる場所になるぞ」という言葉を聞き、地区の将来に興味が湧いた。2019年、結婚した大将さんと一緒に県内に戻った。
故郷の井田川地区の多くは震災後、津波の災害危険区域に指定され、人が住めない場所となった。それでも春香さんは「住むことはできなくても、人が訪れるきっかけをつくりたい」と約2年前から観光農園開設の準備を進めた。
農園には約500鉢のブルーベリーが並ぶ。種類は全部で19種類あり、時期ごとに味わえる種類が異なる。鉢の上には支柱で支えられた太陽光パネルが並び、太陽光を農業と発電で分け合う「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)」も導入した。
さらに春香さんは、農園が子どもたちの探究心を刺激する場にもなってほしいと願う。種類によっては普通のブルーベリーより大きな実を味わえたり、農園周辺では草木や虫などの自然とも触れ合えるからだ。訪れた子どもたちには、農園での発見を書き留めてもらえればとオリジナルのノートを贈る予定。春香さんは「農園の周りは津波で折れ曲がったままの電柱などがある。震災の面影を感じつつ、農園での体験を思い出にしてほしい」と呼びかけた。
今年はプレオープンで、来年はカフェを併設させるなど、観光農園として本格的にオープンする予定だ。
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