日本の美宿す「西洋工芸品」 3月24日から福島県立美術館で名品展

 

 19世紀後半、海を渡った日本の美術・工芸品は、西洋の文化、芸術に衝撃を与えた。この衝撃の下、ヨーロッパなどで生まれたガラス工芸品や陶磁器など珠玉の名品を紹介する「ブダペスト国立工芸美術館名品展 ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ」が、20年3月24日から5月10日まで、福島市の県立美術館で開かれる。芸術潮流「アール・ヌーヴォー」を代表する作家エミール・ガレやルイス・C・ティファニーの名品など、日本の面影を宿した約200点を展示する。

 福島民友新聞社創刊125周年事業、福島中央テレビ開局50周年事業。タイトルにある「ジャポニスム」は「日本趣味」を意味するフランス語。一般的には19世紀後半、ヨーロッパを席巻した日本文化の大ブーム、幅広い文化・社会現象を指す。

 当時、開国したばかりの日本からは浮世絵、漆器、陶磁器といった美術・工芸品などがヨーロッパへ渡った。一方、ヨーロッパではパリ、ロンドンなどで万国博覧会が相次いで開かれ、日本の品々も出品された。

 県立美術館の早川博明館長は「この万博をきっかけに、日本の美術・工芸品はヨーロッパの人々に『新鮮な美』として捉えられ、愛好し所有することが流行した」と解説する。

 同時にジャポニスムは、新しい芸術を模索するクリエーターたちに、大きな刺激をもたらした。

 「近代芸術の発端の一つがジャポニスムだった。例えば、日本の焼き物に描かれた植物や昆虫などの、自由で有機的な曲線を使った装飾表現は、西洋では驚きを持って受け止められた。こうした刺激を受け19世紀末、開花した芸術潮流が『アール・ヌーヴォー』(新しい芸術の意)だった」と早川館長は話す。

 今展覧会では、そのアール・ヌーヴォーの名品が並ぶ。米国の宝飾店「ティファニー」創業者の息子で米でのアール・ヌーヴォーの第一人者、ルイス・C・ティファニーが制作したガラス工芸品「孔(く)雀(じゃく)文花瓶(もんかびん)」(1898年以前、高さ28センチ)は、クジャクの羽根が大胆にあしらわれた作品。波打つ羽根の模様が、見る方向によって色と輝きを変える。この、花や植物などを有機的な曲線で描く表現がアール・ヌーヴォーの特徴の一つだ。

 アール・ヌーヴォーの旗手、エミール・ガレ(フランス)の「蘭文(らんもん)装飾花器」(1900年ごろ、高さ42センチ)は、ランが大胆に描かれたガラス工芸品。11点出展されるガレの作品の中でも、際立った存在感を放つ。葉脈などが微細な線で描かれ、日本画を思わせる。

 早川館長は「今回は、工芸作品を通し、西洋近代美術の魅力と、その中にある日本の伝統的な美意識を味わうチャンス。異文化交流の面白さが発見できるはず。五輪の年でもあり、国境を超え共感できる文化や美について考えてほしい」と話している。

【ブダペスト国立工芸美術館名品展 ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ】

▽会期 2020年3月24日~5月10日
▽会場 県立美術館(福島市森合字西養山1)電話024・531・5511
▽主催 福島民友新聞社、福島中央テレビ、県立美術館
▽監修 木田拓也武蔵野美大教授
▽企画協力 アートインプレッション