【二本松】東野辺薫の功績後世に 芥川賞作家、上川崎公民館に特設

 
「和紙」の初版本など貴重な資料が並ぶ特設コーナー

 二本松市の上川崎公民館は20日までに、同館図書室に、同市出身で県在住者初の芥川賞作家東野辺(とうのべ)薫(1902~62年)の関連図書などを集めた特設コーナーを設けた。受賞作「和紙」の初版本など貴重な図書が並び、同市が輩出した文豪に改めてスポットが浴びそうだ。

 東野辺は旧制安積中、早大国漢文科を経て教員となり、旧制中や高校で教壇に立つ傍ら創作活動を続けた。1943(昭和18)年、同市上川崎地区の紙すき集落を舞台に、戦時下で翻弄(ほんろう)される農家の姿を描写した「和紙」が第18回芥川賞に輝いた。48年には福島民友新聞に「女体軌跡」を連載した。

 東野辺は小学時代を上川崎地区で過ごし、当時は学友や作家活動を支援した人も多かった。しかし来年で没後60年となる中、東野辺を知らない世代が多くなっている。同館の菊地清寿館長らが「地元ゆかりの芥川賞作家が埋もれてしまう」と考え、東野辺の顕彰活動の検討を始めた。

 特設コーナーはその一環。46年発行の「和紙」の初版本(築地書房刊)をはじめ、第18回芥川賞の結果を発表した44年発行の「文藝春秋3月号」、49年発行の「芥川賞全集第5巻」(小山書店刊)などを展示。41年に毎日新聞の懸賞小説で1位当選した「国土」や「人生退場」など3作品を収めた「和紙」(五月書店、71年刊)もある。これらは貸し出ししないが、平日の午前9時~午後4時に閲覧できる。

 菊地館長は地域住民と顕彰組織の設立も検討していていて「東野辺にしっかり光を当て、功績を後世に伝えていきたい」と話す。問い合わせは同館(電話0243・52・2001)へ。