旅館とそば店が一体、飯坂温泉に新スタイル施設 閉館老舗を改修

 
「ひろすけ旅館」北側の「そばひろ」の入り口に立つ渡部さん

 福島市・飯坂温泉の「発祥の地」とされるエリアに4月27日、「ひろすけ旅館」と二八更科蕎麦(そば)を提供する「そばひろ」が同時オープンした。ひろすけ旅館は泊食分離スタイルだが、朝食は旅館内のそばひろで提供する。そばひろは宿泊者以外も利用でき、オーナーの渡部泰陽(たいよう)さん(56)は「新しいスタイルを模索して生まれた。温泉街活性化の足がかりになれればいい」と話す。

 ひろすけ旅館とそばひろは、閉館した老舗旅館「鯖湖(さばこ)旅館」を改修してオープンした。周辺には飯坂温泉のシンボル的な存在の「鯖湖湯」や豪商・豪農の旧家「旧堀切邸」、国登録有形文化財「なかむらや旅館」などがあり、温泉情緒が味わえる。

 渡部さんは東京都や千葉県で旅館を経営していたが、旅館再生のため約8年前に飯坂温泉に来た。飯坂温泉に魅力を感じて移住、「蕎麦居酒屋ひろすけ」を開店させ、今度は温泉旅館の歴史を受け継ごうと、鯖湖旅館を買い取った。費用節約のため、改修はできる部分は自身や交流サイト(SNS)仲間などボランティアの手を借りて進めた。

 ひろすけ旅館は主にビジネス客をターゲットにしている。周辺に安価で食事ができる場所が少ないことから、旅館北側に入り口を設け、調理場などを生かしたそばひろを開店した。そばは390円からで、500円のそば定食やカレーライスもある。

 そばひろの営業時間は午前7時~午後1時30分で、火曜日定休。ひろすけ旅館の宿泊者で夕食を希望する場合は徒歩約5分の場所にある蕎麦居酒屋ひろすけで食事ができるプランもある。

 ひろすけ旅館はWi―Fi完備。渡部さんは「泊食分離のひろすけ旅館と立ち食い蕎麦感覚のそばひろ。いずれも低料金なので、気軽に利用してほしい」と話している。問い合わせは同旅館(電話024・563・6248)へ。