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野田孝順さん |
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◆きしみもなく保存 |
「僧侶の使命として、祖師の残したものを次代につなげていかなければならない」と第35代住職の野田孝順さん(26)。約200年前に作られたという説もあるが、回転時のきしみもなく全体的にきれいに保存されている。
東京都など遠方から見学に訪れる人もいるといい、知名度も高い。野田さんは「多くの方々に知ってもらうことが必要と思っている。そして回転輪蔵を回し、功徳を積んでもらいたい」と話す。 |
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町指定文化財に指定されている頭陀寺回転輪蔵。数千冊の経典が納められ、回転させることで功徳を積む
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■国道349号沿いにあり、川俣町役場から月舘方面に車で約5分 |
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1449(宝徳元)年、栽松青牛(さいしょうせいぎゅう)和尚によって開山された川俣町の曹洞宗鶏足山(けいそくさん)頭陀寺。名僧の作の開運甲子大黒天や金を生み出す石との言い伝えがある金生石大黒尊、松尾芭蕉の句碑などがあり、伊達政宗も訪れたことがあるという名刹(めいさつ)。その中でひときわ目立つのが町指定文化財にもなっている回転輪蔵。
1871(明治4)年には頭陀寺は大火に見舞われた。本堂も焼け落ちたが、山門と回転輪蔵だけは被災を免れた。
回転輪蔵は7334巻の経典が納められたもので、八角形八面で作られている。堂の中心には軸が通され、自由に回転する。回転させることで功徳を積むことができる。
大きさ、歴史からみて全国でも有数の回転輪蔵。地面との接点は軸部分のみであるにもかかわらず、精巧な作りで、初めに勢いをつけ力を込めて回せば、後は少しの力ですんなりと、ぶれることなく回転する。子どもでも難なく回転させられる。経典自体も300年以上前に木版によって印刷されたが、保存状態は良い。
回転輪蔵自体の製作年代は諸説あるが、野田孝順住職によれば定かではない。
現在は元日の元朝祈とう、毎年3月に行われる甲子大黒天祭の時に回転輪蔵が納まっている建物の扉が開けられ、参拝者に開放される。平時も参拝者の要望があれば扉を開けて回転輪蔵を回して功徳を積んでもらうという。 |
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