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嶋村一志さん |
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◆保存と活用考える |
1999(平成11)年に学芸員になって以来、約10年間にわたり泉崎横穴の保存や研究に携わっている嶋村一志さん(35)。「泉崎村は文化財の宝庫。貴重な文化遺産を後世に残さなくてはならない」と語る。
再公開された際には、2日間で約600人が訪れた。「保存も大事だが、公開を通して史跡を身近に感じてもらうことも必要。保存と活用のバランスを取りながら、できることを考えていきたい」とあらためて誓う。 |
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装飾壁画は何を意味するのか、研究家の注目を集める泉崎横穴 |
■東北道矢吹ICから南へ車で約15分。JR泉崎駅から東へ徒歩約20分 |
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泉崎村の泉崎中近くにある装飾壁画を持つ古墳時代(6世紀末―7世紀初頭)の横穴墓。1934(昭和9)年5月1日に国の史跡に指定された。
33年12月19日、道路工事中に発見された。東北初の装飾壁画を持つ横穴として、考古学関係者の注目を集めた。遺体を葬る部屋「玄室(げんしつ)」と玄室に通じる通路「羨道(せんどう)」からなり、玄室部分は幅約2メートル、奥行き約2.3メートル、高さ約1.2メートルのドーム型になっている。壁画は玄室の正面と左右の壁に描かれている。
動物や弓に矢をつがえた騎馬人物、高杯(たかつき)状の器物をささげた女性らしい人物などが、赤色顔料を使って描かれている。誰が何のために描いたのか、研究者の見解はさまざま。横穴墓に葬られた人物の生前の姿などが表現されている、との見方もある。
発見当初から一般公開されてきたが、壁面や天井数カ所でひび割れが進行。内部公開の影響から、人や生物に付着していたとみられる汚れなどによってカビなどが発生、壁画の劣化が進んでいるとして2002年以降、公開が中止された。
このため、村教委などは05年度から3年かけて大規模修復作業を実施。特殊な樹脂や薬品を注入、ひび割れを補強するなどして回復、08年に再公開された。
装飾壁画を持つ横穴墓は、県内には泉崎を含め4カ所存在する。 |
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