症状に合わせ各種治療
前立腺生検でがんと診断されたら、次に磁気共鳴画像装置(MRI)、骨シンチなどにより病期診断を行います。病期は、がんが前立腺内に限局している状態(限局性がん・病期A、B)、前立腺の被膜を超えている状態(局所浸潤がん・病期C)、骨やリンパ節に転移のある状態(転移がん・病期D)に分類されます。
治療は、「ホルモン療法」「手術療法」「放射線療法」「化学療法」などがあります。
特徴的な性質として、前立腺がんは男性ホルモン依存性に増殖します。ホルモン療法は男性ホルモンを抑えることでがんを治療します。通常、1カ月または3カ月ごとの皮下注射薬と内服薬の組み合わせで行います。90%以上の患者さんに有効で根治の可能性もありますが、治療中、ホルモン耐性がんとなり病状が再燃することもあります。
手術療法は比較的若年(75歳以下)の限局がんで根治治療として行われます。下腹部正中切開で行い、前立腺および精嚢(のう)を全摘除します。入院は2〜3週間です。
放射線治療も限局がんで根治治療が可能です。一般的には体外からの照射(外照射)で週5日の治療です。約2カ月を要します。小さな放射性物質を前立腺に埋め込んで治療する「密封小線源永久挿入治療法」も行われています。また、現在保険適応外ですが、陽子線(粒子線)治療も行われています。放射線とは異なりますが、強力超音波による「高密度焦点式超音波(HIFU)療法」も行われています。
化学療法はホルモン耐性がんに対して、3週間ごとに点滴治療します。
転移がん(骨転移)に対する疼痛(とうつう)緩和治療として、転移部位に対する放射線の外照射(週5日で2週間)を行います。転移部位が広範囲な場合は、放射性医薬品(ストロンチウム)を静脈注射する治療があり、数カ月ごとに繰り返し行います。骨転移巣の増大を抑制する治療として「ビスホスホネート療法」があり、月1回点滴を投与します。
またごく初期の小さながんでは、すぐに治療を開始せずに定期的にPSA(前立腺特異抗原)を検査する待機療法が選択される場合もあります。
(県医師会員・白河市)
=次回掲載10月2日
|