手術中心で治癒に期待
【治療法】一般的ながんの治療は、外科的治療(手術)、抗がん剤などの薬物療法、放射線治療、免疫療法などがありますが、胆嚢(たんのう)がんでは放射線治療の効果や薬物療法の効果があまり期待できず、可能であれば手術でがんを根こそぎ切り取ることが助かる方法です。
手術はがんの進み具合に応じて、胆嚢を摘出し転移しているかもしれない周囲のリンパ節を系統的にとる(郭清(かくせい))ことを基本に、肝臓の一部や胆管も切除し胆管と小腸をつなぐものまでできるだけがんを取り除くような術式が行われます。また、黄疸(おうだん)が出現していてお腹(なか)全体にがんが転移している場合(癌(がん)性腹膜炎)などは取り切れませんが、黄疸を取るために胆管と小腸をつなぐ手術をしたり、内視鏡を用いて胆管に管を入れたりする処置を行ったりします。
また、手術できない進行がんや再発に対する治療としては、延命効果に期待し抗がん剤の投与(化学療法)が行われたりしますが、現在は塩酸ゲムシタビンという薬に白金製剤など他の薬を組み合わせて使用されることが多いようです。
【治療成績】胆嚢がんは他のがんに比較して手術になる割合は少ないのですが、その手術成績は他のがん同様、がんの進行程度によって異なってきます。1998〜2004年の全国集計では全体での5年生存率は42%となっています。予後に影響する因子はリンパ節への転移の程度、がんの胆嚢壁への深さ、胆嚢が付着していた肝臓へのがんの広がり具合、手術でどれだけきれいに切除できたか(根治度)などですが、進行した胆嚢がんでは明らかに予後不良です。
がん細胞は15秒に1個、1日約6千個作られるともいわれ、通常は免疫力などにより死滅させられますが、喫煙や運動不足など不健康な生活でこれらが生き延びるリスクが高まります。胆嚢がんにおいても他のがん同様、健康的な生活で予防するとともに、定期的に検診を受け早期発見、早期治療することが重要です。
(県医師会員・福島市)
=次回掲載8月6日
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