小児から高齢者まで発症
【白血病の統計】日本では1年間に約34万人が「がん」で死亡しています。これは全死因の約30%に当たります。
「血液のがん」による2008年の死亡数は、国立がん研究センターの統計によると、白血病7675人(男4554人、女3121人)で人口10万人当たり6・1人、悪性リンパ腫9444人、骨髄腫4146人でした。本県では白血病で118人が死亡しています。
白血病は小児から高齢者までどの年代にも発症しますが、高齢者ほど多くなっています。
【発症原因】血液には赤血球、白血球、血小板という3系統の血球があり、これらは骨髄にある造血幹細胞から産生されます。
造血幹細胞は途絶えないように自己複製し、他方では赤血球系、白血球系、血小板系の細胞へと分かれて成熟し次々と新しい血球になります。血球が造られる過程でDNAの合成違いや損傷が起きたり、傷ついたDNAを誤って修復したりすることがあります。DNAの障害が積み重なると細胞に遺伝子変異が起こります。
遺伝子変異を起こす原因には、細菌、ウイルス、化学物質、放射線、抗がん剤、酸化ストレスなどの関与が考えられています。造血幹細胞の遺伝子変異が蓄積すると白血病幹細胞が発生し、何らかの作用で勝手に細胞分裂を繰り返し白血病に至ると想定されています。発症メカニズムは解明されていないことも多く、治療に結び付くように研究が進められています。
【症状】骨髄が白血病細胞に占拠されると、血球を造る力が落ちます。赤血球が減ると貧血症状が現れ、白血球が減ると感染しやすくなり、血小板が減ると出血します。
顔色が悪い、だるい、発熱、鼻出血、出血斑がでるなど、これらの症状が続くときには、血液検査で血球数を測り異常な細胞の有無を確認します。異常があれば腸骨や胸骨に針を刺し、骨髄液を検査します。白血病かどうかの診断はここから始まります。
(県医師会員・白河市)
=次回掲載8月20日
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