性行為でうつる可能性
性感染症とは性行為で感染する(うつる)病気のことです。この「性行為」とはふつうの腟性交のほか、口や肛門を使ったりする性交なども含まれます。具体的な病気としては性器クラミジア感染症、淋病、梅毒、性器ヘルペス、尖形コンジローム、トリコモナス症、AIDS(エイズ)などがあります。多くの性感染症は適切な治療によりほとんどが治りますが、エイズのように感染するとその後の人生を大きく変えてしまうものもあります。
性病といわれた時代とちがい、性感染症は特別な仕事をしている人だけがかかる特別な病気ではなく、性的な接触をもつ人なら誰でもかかる可能性のある病気なのです。
性感染症は性行動が活発な20代や10代後半の若い世代に多く、とくに本県では若い世代の感染者が全国平均より多い状況にあります。男女ともに感染者が最も多いのは性器クラミジア感染症です。クラミジアに感染すると、男性は尿道口からの分泌物、かゆみ、軽い排尿痛などを伴う尿道炎をおこします。女性は症状が全くないか、あっても帯下(おりもの)が少し増えるぐらいの場合が多いので、本人が感染に気づかないことがあります。
さらにかかったことに気づかず適切な治療を受けないと、不妊症や子宮外妊娠の原因になることもあり注意が必要です。
性行為には常に性感染症の可能性があることを知り、安易な性行動をしないことが大切です。そして少しでも性感染症を疑ったら、早めに泌尿器科や産婦人科などの医療機関を受診し検査を受ける必要があります。性感染症にかかっていることがわかった場合は自分だけでなく、パートナーも必ず検査を受け、完全に治るまで2人いっしょに治療を受けましょう。コンドームは性感染症の予防に役立つことが知られていますが、性行為の最初から最後まで正しく使わなければ予防効果はありません。妊婦さんが性感染症にかかったままで出産すると、生まれてきた赤ちゃんにもうつることがありますので、妊娠初期に検査を受けることをおすすめします。(県医師会員)