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NIE 教育に新聞を
(2009.8.11)
     
命を守る「温かい心」 新聞で人とつながる/NIE全国大会


「NIE、身近に引き寄せるために」をテーマに開かれたパネルディスカッション=長野市・ホクト文化ホール

 教育現場での新聞活用について考える、日本新聞教育文化財団主催の第14回NIE全国大会は7月30、31の両日、長野市のホクト文化ホールなどを会場に開かれた。全国の小、中学、高校の教員や新聞関係者ら約千人が参加。「わかる ひろがる つながるNIE」を大会テーマに講演やパネルディスカッション、実践発表などを通して取り組みを考えたほか、新聞活用が盛り込まれた小・中学校の新学習指導要領の全面実施へ向け、これからのNIEの在り方を探った。2日間にわたる大会の様子をリポートする。

 ■どう生きたらいいのか
 学習指導要領改定を追い風としてNIE活動をより活発に、全国に広げようという期待が込められた今大会。初日は、作家で諏訪中央病院名誉院長の鎌田実さんが「命は人と人のつながりで守られる」と題して記念講演した。 
 鎌田さんは血のつながらない両親に育てられたことや、チェルノブイリ、イラクでの救援活動に触れながら「新聞には人間がどう生きたらいいのかが書いてある。私たちは子どもをどう生き生きと育てていくか、ということを考えなければならない」と話し、そのためにNIEが必要で、皆、人と人とのつながりを大切に、温かい心を持たなければならないとした。

 ■NIEの魅力と課題 
 パネルディスカッションでは、4人のパネリストがNIE活動をより身近にするための方策について議論した。はじめに、市川文夫信濃教育会NIE研究調査委員長が、長野県内の教員の約80%が新聞を学習資料としたことがあるが、このうちNIEを知っていると答えたのは約55%だったことなどを報告。新聞の素材としての価値を分かっていても、NIEへの理解が足りないと指摘。その上で、教員の意識や活動だけでなく、新聞側の活動と重なる部分にこそNIEが成り立つと基調提案した。
 討議では、東京都武蔵村山市の持田浩志教育長が開設準備中の市立の小中一貫校に情報読解力育成のため、NIEを各教科に取り入れるカリキュラムを作成したことを紹介した。
 NIE実践者の長野市立吉田小・広川芳守教諭は、自身の経験を踏まえ、新聞を教材化する難しさから、多忙な教育現場では時間のかからない副読本に頼りがちであるという現状を指摘した。
 札幌市立宮の森中の古畑理絵教諭は、「最新の正確な情報を生徒に提供でき、社会と自分とのかかわりを感じさせることができるのではないか」と新聞活用の魅力を話した。
 会場からは、「新聞のある生活がNIE。『教材』という言葉に固執しすぎではないか」との厳しい意見もあった。新聞の持つメリットを再認識し、「教材」として押しつけるのではなく、教科の狙いに合わせて、子どもたちと社会を結びつけ、自発的で、本来は楽しいはずの「学び」を動機付けるようなNIEの在り方が必要とされているのではないだろうか。(文化部・柳沼直美)
(2009年8月11日 福島民友NIEニュース)
 
 
 


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