minyu-net

 
ホーム 県内ニュース スポーツ 連載 社説 イベント 観光 グルメ 健康・医療 購読申込  
 
NIE TOP
NIE 教育に新聞を
(2009.8.18)
     
時代をつなぐ新聞/NIE全国大会


小・中学・高校各分科会/NIE全国大会

公開授業で江戸時代の文化と現在のかかわりについて発表する生徒たち=長野市立東部中

 教育現場での新聞活用について考える、第14回NIE全国大会最終日(7月31日・長野市)は、小、中学、高校の各分科会が開かれた。新聞を活用し考える力や表現力を高めること、地域や社会とのつながりを見つめ直すことなどをテーマに、公開授業や実践発表、ワークショップが行われ、参加者が具体的な新聞活用法や授業の進め方を学んだ。

暗記でない歴史学習
 長野市立東部中2年2組では、歴史学習に新聞を取り入れた。江戸時代の元禄、化政の二つの文化と現在のかかわりを、文学や美術、芸能などのジャンル別にグループごとに調査した。公開授業では、各グループの発表と質疑応答を行った。
 長野県が生んだ俳人・小林一茶が現在も高く評価されていることに着目した5人のグループは、一茶の句日記が新たに発見されたという地元紙の記事などから人物像に迫った。一茶の生い立ち、知人や門人への俳句指導などを知り、愛され続ける理由を「一茶の句には弱い者に対する温かさ、思いやりが表れているから」とまとめた。
 葛飾北斎の浮世絵が新聞広告に使われていることに興味を持った3人は、「現代の技術でも映し出せないような絵を描ける鋭い観察眼が、世界での高評価につながっている」と北斎の魅力を伝えた。
 「歴史は暗記すればよい」とする生徒が多く、身近な生活と歴史的事象のつながりに目が向かないため、学習の意義が見いだせていないという。歴史に関する新聞記事は少なく、活用は難しいともいわれるが、生徒の発表を通じ、新聞には過去と現在のつながり、地域とのかかわりに気付かせる効果があると感じた。

新聞製作の実情理解
 新聞記者と教員の交流を目的とした特別分科会は、「新聞はどのように作っているか」をテーマに開かれた。
 講師の山口百希朝日新聞東京本社NIE事務局長と宮沢秀紀信濃毎日新聞社整理部長が、見出しや紙面構成、記事の選択、取材方法など新聞製作について解説。北京五輪や高校野球を例にした写真取材の説明では、同じ瞬間をいくつもの場面でとらえるカメラマンの動きや撮影時の秘話に触れ、関心を集めるとともに会場の笑いを誘った。
 また、「同じ記事でも地域によって写真が違うのはなぜか」「どのような場合に署名記事とするのか」など参加者の質問に答えた。

密接連携と学習意欲
 2日間の大会期間中は、長野県内の高校生が大会の様子を取材、5回にわたり速報新聞を発行した。同県では、約80%の高校で新聞部が学校新聞を発行している。地元紙に定期的に高校生の記事を掲載しているほか、取材から紙面製作までを学ぶ技術講習会も行われている。さらに、各校の新聞をプロが診断している。
 活発なNIE活動には、学校と新聞社、各教育機関との密接な連携に加えて、視野を広げようとする子どもたちの意欲が備わっている。その意欲をどう引き出していくかが、さらなるNIE発展の鍵になる。
(文化部・柳沼直美)

(2009年8月18日 福島民友NIEニュース)
 
 
 


福島民友新聞社
〒960-8648 福島県福島市柳町4の29
個人情報の取り扱いについてリンクの設定について著作権について

国内外のニュースは共同通信社の配信を受けています。

このサイトに記載された記事及び画像の無断転載を禁じます。copyright(c) THE FUKUSHIMA MINYU SHIMBUN