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NIE 教育に新聞を
(2010.8.10)
     
社会全体で学び深める/NIE全国大会リポート(上)


新聞記事を活用し動物と人とのかかわり方を学ぶ児童ら=熊本市・崇城大市民ホール

 教育現場での新聞活用について考える、第15回NIE全国大会(日本新聞教育文化財団主催)は7月29、30の両日、熊本市の崇城大市民ホールなどを会場に開かれた。「学校から社会へ〜学びを深め、暮らしに生きるNIE」をテーマに、全国の小、中、高校の教員や新聞関係者ら約1700人が参加。公開授業やパネルディスカッションなどの分科会を通し、授業で新聞活用が盛り込まれた新学習指導要領の実施に向けたNIEの在り方などについて議論を深めた。2日間にわたる大会の様子をリポートする。
 大会では、熊本県NIE推進協議会の池辺利昭会長が「子どもから大人まで社会全体で新聞を活用していこう」と、学校教育以外での積極的な新聞活用の在り方を示したほか、「来年度小学校から順次実施される新学習指導要領では、新聞活用の充実が明確にされた。これをNIEの追い風としてとらえ、授業に新聞を活用するNIEの取り組みを一層広げる活動を進めよう」と基調提案した。  これを受け、恒例の全体シンポジウムを行わず、初日から多様な形の分科会を開催。小、中、高校などの学校教育の分科会のほか、新たに生涯学習と大学の分科会も設けられるなど、活発な議論が続いた。

 新聞活用一層の広がり/小学校公開授業
 小学校の分科会では、地元の高森町立高森中央小6年1組が「心に響く道徳授業〜新聞から学ぶ人の生き方〜」と題し、公開授業を行った。殺処分される犬を見て心痛める女優の田中美奈子さんの新聞記事などを活用し、動物と人とのかかわり方を考えた。
 まず、田中さんが動物保護センターを訪れて収容された犬の様子を書いた新聞記事を山田一人教諭が読み聞かせた。山田教諭は、自らも熊本市の県動物管理センターを訪れ、犬の姿などをカメラに収めた写真を生徒に示して、「田中さんは犬の姿が離れず一睡もできなかったと書いているが、どんなことを思っていたのだろうか」と問い掛けた。児童からは「自由にしてあげられたらいいのに」「動物たちをすべて助けることはできない。自分に何かできることはないだろうか」といった感想が上がった。
 次に山田教諭は動物愛護団体が、殺処分が迫った犬や猫の姿を撮影し写真展を開くという新聞記事を紹介。新聞で紹介された動物愛護団体「フィリア」の田尻みゆき代表がゲストティーチャーとして登場した。田尻さんは動物の殺処分の現状を伝え、自ら老犬を引き取った経験などから「最後までペットの命と向き合うことが重要」と語った。
 研究討議では、宮崎県の教諭が「口蹄(こうてい)疫の問題があり、このような記事を実際の授業に使いたいと思っていた」などと感想を述べた。別の参加者からは「児童に判断を問い返す場面がもっとあっても良かったのでは」といった指摘もあった。(文化部・三浦健)
(2010年8月10日 福島民友NIEニュース)
 
 
 


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