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 複雑な雇用情勢 
 
  人口構造に適応できず

 県内の有効求人倍率は10月も1.03倍となり、5カ月連続で求人が求職を上回る結果となった。物足りないとされる正社員の求人倍率も全国を大きく上回り、数字の上では悪くないが、実態はかなり複雑だ。
 浜通りからの避難者の多くは延長されていた雇用保険給付が打ち切られても、満足いく職に就けていない。賠償金で当座の生活資金に事欠くことはないにせよ、先の見えない状況が続いている。夏以降は海外経済の減速から製造業の求人が目立って減少し、職探しに暗い影を落としている。
 その一方で、山ほど復旧工事を抱える建設業は深刻な人手不足を訴え、除染作業の本格化もあって工事の入札が不調となるケースも目立ってきた。客足が回復しつつある旅館、人口移動に対応した新規出店を計画するスーパーなどは、原発事故の影響から女性労働力の確保がままならない。旅館の中には部屋数を絞って営業する先も見られる。
 ミスマッチの一言で語るのは簡単。だが直面する問題は、震災や原発事故を機に人口構造が大きく変化し、その変化に経済活動の調整が追い付いていかない現実を投影したもの。それだけに職業訓練など通常の対応策では効果が期待しにくいという難しさがある。

◇おことわり 10日付朝刊は休みのため、今回は本日掲載しました。


けいざい散歩


2012年12月9日付
福島民友新聞に掲載

 

 

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