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裏磐梯 会津編
冬の桧原湖。凍り付いた湖上に、ワカサギ釣り用のテントが並ぶ。裏磐梯は四季を通して観光客でにぎわう
ふくしま発 水のあした
第1部 暮らし支えて【15】
2010年2月6日付
裏磐梯 会津編

噴火が生んだ湖沼群 美しい景観、高い知名度
 日本海と太平洋の分水嶺となる奥羽山脈が、会津と中通りを分ける。県内の奥羽山脈の名峰の一つが磐梯山。南側に猪苗代湖を抱き、北側には大小さまざまな湖沼が点在する裏磐梯の景観をつくる。裏磐梯は、深山の静寂とは対照的に、春から秋にかけたトレッキングや冬のワカサギ釣りなどで、四季を通じて観光客でにぎわいをみせる。
 1888(明治21)年7月15日。磐梯山は突然、ごう音をとどろかせた。山頂付近から崩壊し、大量の土砂や岩石が人家や森をつぶした。辺り一帯の土地は荒れたが、噴火の猛威は新たな自然環境を生み出した。
 岩石によってせき止められた川などから次々と湖沼が出来上がり、120年経った今では、大小300以上の湖、沼が点在する裏磐梯湖沼群を形成、水と森の豊かな自然と美しい景観が広がる。
 裏磐梯観光協会によると、裏磐梯には毎年約280万人の観光客が訪れる。バブル期には320万人が足を運んだ。裏磐梯を含む周辺一帯は1950(昭和25)年に国立公園に指定され、磐梯朝日国立公園が誕生。裏磐梯では地元の北塩原村民の7〜8割が観光にかかわる仕事に携わっており、全国屈指の国立公園としての知名度が高い。
 乳白色に近い青、赤、緑などの色を放つ五色沼湖沼群は自然の神秘がつくり出した裏磐梯特有の湖沼群。水中にアロフェンという鉱物質が浮遊しているほか、酸性とアルカリ性の水が混じることで色の変化が生まれるという。裏磐梯ビジターセンター自然解説員の新井穣さん(36)は五色沼の色味を「日本唯一といえる」と評価。昨年春から、関西から訪れる観光客が増えているという。
 裏磐梯湖沼群で最大の桧原湖には、冬の時期、厚く凍り付いた湖面にワカサギ釣りのテントが並ぶ。休みを利用して夫婦で釣りに訪れた会津若松市の黒沢剛臣(よしみ)さん(50)は「さお先が微妙に動く当たりの瞬間がいい。デリケートな釣りです」と醍醐味(だいごみ)を語る。桧原湖のワカサギ釣りには毎年4〜5万人が訪れる。
 四季を通し自然を楽しめる裏磐梯。同協会の宍戸浩和さん(49)は「災害でダメージを受けたが、災害によって生まれた自然は、今は恵みとなっている」と自慢する。
 


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