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猪苗代湖の恵み
日本で4番目に広い猪苗代湖。四季折々の姿が大勢の観光客の心を引き付ける
ふくしま発 水のあした
第4部 豊かさを守る【3】
2010年10月13日付
猪苗代湖の恵み

景観を保つ努力続く 地元団体がごみを収集
 日本で4番目に広い湖・猪苗代湖。冬の使者ハクチョウが湖面に飛来する中、次第に紅葉で色付く磐梯山とのコントラストは会津の秋を象徴する情景。夏には湖水浴でにぎわい、冬になると湖岸のしぶき氷が神秘的な風情を醸し出す。四季折々の魅力が人々の心をとらえる。
 湖畔の長浜や志田浜には国内外から20万人以上の観光客が訪れ、キャンプ、マリンスポーツなど思い思いのレジャーを満喫する。志田浜のドライブインに勤務する佐藤昭子さん(63)は「志田浜からは磐梯山や布引山が湖とともに見ることができ、太陽が沈む時に湖がオレンジ色に染まる景色は最高だと思う。観光客も感激している」と猪苗代湖の景観を誇る。
 猪苗代町の中心部から会津若松市方向に国道49号の湖岸沿いを車で走らせると、長浜に差し掛かると、ハクチョウ型やカメ型の遊覧船が目に入る。遊覧船を運営する磐梯観光船長浜営業所長の渋川久行さん(52)は「大型連休の季節は忙しく、特に関東圏ナンバーの車で駐車場があふれる。国道49号にも車の渋滞ができる時もある」と、観光地としてのにぎわいを語る。
 猪苗代湖は本県を代表する観光地の一つ。猪苗代湖がはぐくむ観光産業は、地域産業の中核でもあり、地域振興や雇用などを下支えしている。
 観光客から親しまれる猪苗代湖の景観を保つため、地域の努力が続けられている。地元の観光協会や環境団体などを中心に、湖岸のごみ拾いなど環境美化活動に取り組む。猪苗代観光協会長の鈴木宣夫さん(69)は「美しくなければ、観光の売りにはならない。猪苗代湖に出入りするすべての人々が猪苗代湖を大切に思う心を持つべきだ」と語る。鈴木さんによると、以前は砂浜などに目立ったたばこのポイ捨てが5、6年ほど前から少なくなっているという。
 雪解けの季節などに合わせて実施する美化活動には、地域以外の人々もボランティアとして大勢参加し、猪苗代湖を守ることの大切さを考える機会となっている。「一人一人が、猪苗代湖を守るという気持ちが自然とわき出るような取り組みを進めたい。時間はかかるが、その意識付けを地道に続けたい」。鈴木さんは、猪苗代湖の美しい景観を愛する人々の思いを代弁する。
 


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