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猪苗代湖復活へ
猪苗代湖で水草を回収する人たち。水質改善への関心が高まっている
ふくしま発 水のあした
第4部 豊かさを守る【5】
2010年10月15日付
猪苗代湖復活へ

日本一目指し力結集 水草回収で水質を改善
 猪苗代湖では、週末の土曜、日曜日になると、天神浜や松橋浜で湖岸に漂着した水草の回収に汗を流す人たちの姿がみられる。猪苗代湖の水質を改善しようと集まった「水質日本一の猪苗代湖」の復活を願う人たちだ。
 回収作業の中心となり、多くの人たちに参加を呼び掛けているのが「清らかな湖、美しい猪苗代湖の水環境研究協議会」と「ロータリー猪苗代湖水環境協議会」。民間団体や自治体と連携し、8月末から10月末までの毎週末に実施している。
 猪苗代湖の水質悪化の原因の一つとして、枯れた水生植物が腐り、有機物となって水中に溶け込むことが、水環境研究協議会長で日大名誉教授の中村玄正さん(68)によって指摘されており、悪化に歯止めをかけようと水草の回収を続けている。
 「自然の浄化作用では、間に合わなくなった。今の猪苗代湖は重病だ」と話すのは、猪苗代湖の自然を守る会の代表を務める鬼多見賢さん(63)。「人間の活動が活発になれば、水質が悪くなることは必然。汚した分、浄化のための活動が比例すればよい」と一人一人の活動の大切さを訴える。
 国際ロータリー第2530地区は今年、ロータリー猪苗代湖水環境協議会を設立。同地区ガバナーの大橋広治さん(71)は「野口英世博士の母シカさんは、猪苗代湖でシジミを採っていたという。宝の山磐梯山の下にあるのが、母なる湖の猪苗代湖。ほったらかしにせず、しっかりと浄化に取り組まねばならない」と、猪苗代湖の再生を強く誓う。
 猪苗代湖周辺地区の農家でつくる会津有機米研究会は、化学肥料や農薬を抑えた稲作を手掛けている。田畑の水は川をつたい、猪苗代湖に流れる。
 会長の小林重希さん(70)は、こだわりの米を消費者に届けたいという思いと同時に「きれいな猪苗代湖を、末代まで残すため」と取り組みの意義を語る。
 猪苗代湖を守る活動は10年以上前から、一部の有志によって静かに進められていた。しかし、有志の願いとは裏腹に湖水の水質は悪化し、浄化のため多くの力を必要としている。紺ぺきの水をたたえる猪苗代湖の「水質日本一」を取り戻すための県民の力の結集が求められる。
 


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