水のあしたTOP
裏磐梯と観光
裏磐梯の湖沼は、神秘的な色をたたえる。自然とのバランスのとれた観光利用が求められる
ふくしま発 水のあした
第4部 豊かさを守る【6】
2010年10月17日付
裏磐梯と観光

マナー徹底が大切に 調和とれた利用が必要
 磐梯山の噴火によって形成された裏磐梯湖沼群。磐梯朝日国立公園に含まれる一帯は、県内屈指の観光地として名高い。豊かな水をたたえ、四季を通し県内外から多くの観光客を迎える。裏磐梯観光協会によると、裏磐梯を訪れる観光客は年間250〜260万人。その中でも、五色沼湖沼群は一番の人気。五色沼の「五」は「色とりどり」という意味合いで、点在する沼のコバルトブルーやエメラルドグリーンなど多彩な水面(みなも)の色が神秘的だ。
 五色沼湖沼群を含め、裏磐梯湖沼群には、大小300以上の沼があるといわれているが、消失、誕生を繰り返しているという。「生きる湖沼群」ともいわれ、正確な数は分かっていない。
 豊かな自然が広がる裏磐梯で、環境省などが運営する裏磐梯ビジターセンターでは、人と自然とのかかわり方などを紹介し、観光客に自然保護の啓発を進めている。同省裏磐梯自然保護官事務所の自然保護官福地壮太さん(28)は「観光と自然のバランスが上手にとれるような利用の仕方が必要」と話す。
 ごみのポイ捨てなど観光地特有の問題が裏磐梯にも当てはまる。福地さんによると、野生動物の暮らしに影響を与えかねない、ペット同伴のトレッキング客も悩みどころ。同公園自然公園指導員の平野恭弘さん(72)は散策中、道ばたの岩陰などでペットのふんを入れたビニール袋が捨てられているのを見つけることがある。平野さんは、ほかにも野生植物の盗掘の問題を指摘、ラン系統の希少種など愛好家に人気の花が被害に遭っているという。
 「自然は人が入ると、もろいもの」と福地さん。平野さんは「問題の多くは、心の持ち方で解決できる。決められたマナーを守ることが必要」と言葉に力を込める。
 自治体など60団体で構成し県が事務局を担当する猪苗代湖・裏磐梯湖沼水環境保全対策推進協議会は8月、環境保全の意識高揚を図るため、裏磐梯湖沼観察会を開いた。湯川村の佐野常雄さん(73)は、雄大な自然を2人の孫に見てもらおうと参加した。「自然はきれいにすれば、いつでも見ることができるということを教えた」と話す佐野さんは「次世代に自然を残していかなければならない」との思いを抱く。
 


〒960-8648 福島県福島市柳町4の29
ネットワーク上の著作権(日本新聞協会)
国内外のニュースは共同通信社の配信を受けています。

このサイトに記載された記事及び画像の無断転載を禁じます。copyright(c) 2001-2004 THE FUKUSHIMA MINYU SHIMBUN