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貯水タンクから引いた雨水を散水などに使っている永田さん。県内で雨水を利用する取り組みが広がっている
ふくしま発 水のあした
第5部 恵みの源【1】
2010年12月11日付
雨水

園芸で利用花を栽培 公共施設のトイレにも
 「水を大事に使う気持ちが大切で、雨水も有効に活用しないと、もったいない」。福島市桜台で商店を営む永田隆さん(72)は、自宅裏の貯水タンクに雨水をため、花壇の散水などに活用している。永田さんは自宅屋根の排水溝を改良し、貯水タンクまで雨水を引くようにした。
 桜台地区では、地区内に設置したプランターへの散水に雨水を利用する美化活動が住民ぐるみで行われている。雨水利用が始まったのは8年ほど前。地区の集会所の桜台会館に住民有志が雨水貯水タンクを設置したことがきっかけだった。
 水道料金の節約が狙いだったが、現在では永田さん宅をはじめ雨水タンクを設置する個人宅が増えているという。同地区は桜台会館の裏山を地域の里山にしようと住民が協力し花の植栽などにも取り組んでおり、雨水は里山に植え込んだ1500本のアジサイの散水にも活用されている。
 県や市町村の公共施設などでも雨水を利用する動きが広がっている。
 県農業総合センター(郡山市)では、雨水を地下水槽にため、本館のトイレの洗浄水として活用している。地下水槽には約4万リットルの雨水が蓄えられており、雨が全く降らなくても10〜14日間程度はまかなえるという。砂利が敷き詰められた庭先の下に穴の開いた管が設置してあり、雨水を地下水槽まで引いている。同センター総務課主査の高野雅文さん(54)は「雨水は砂利と管内のフィルターで2回ろ過される仕組みで、臭いなどの違和感もなく、衛生上の問題はない」と水質にも太鼓判を押す。
 いわき市は、市民が雨水をためる貯留槽を買う場合、大きさなどに応じて補助金を出している。全国的にも先進的な取り組みだ。
 地球規模の気候変動による渇水などで資源としての水の大切さが問われる中、雨水を資源としてとらえる県民の意識が広がりをみせてきた。
       ◇
 命を育み、豊かな自然や暮らしを支える水。大切な資源としての価値が見直されてきた。「ふくしま発 水のあした」の最終第5部「恵みの源」では、地域の豊富な水を活用しようという活動や、水質浄化や節水に取り組む県民の姿を通し、水の大切さを検証、未来へつなぐ方策を考える。
 


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