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環境教育
広瀬川に鮭をもどす会が小学生と放流したサケの稚魚はこれまでに150万匹。サケが戻る環境が子どもたちに託される
ふくしま発 水のあした
第5部 恵みの源【4】
2010年12月15日付
環境教育

豊かな水辺を活用 水質浄化や生物の調査
 環境教育に水辺を活用する取り組みが、県内各地で行われている。河川の水質浄化や田んぼの水生生物調査など、豊かな水辺は、好奇心旺盛な子どもたちにとっては格好の「教材」。県は「水との共生」をテーマにした出前講座を開講。本年度は喜多方市や伊達市などで開き専門家を講師として派遣、子どもたちに命を育む水の大切さや、水との共生の在り方などを伝えている。
 「水環境」をテーマに活動する市民団体も増えている。県内で水環境に関する活動を展開する約60団体のネットワーク組織「県水環境活動団体交流会」は毎年、河川環境の現状や魚のすみやすい川づくりなどの講演や事例発表などを通し水の大切さを考えている。同交流会事務局の長谷川潔さん(54)は「水は生命の根幹。本県はその水に恵まれている。ふるさとの川を守る思いが活動を支えている」と話す。
 川俣町大綱木を源流に、伊達市を縦断し阿武隈川と合流する広瀬川。以前、豊かだった生態系が環境の変化で失われかけたが、多くの魚が泳いでいたかつての広瀬川を取り戻そうとする有志の努力により、川で息づく魚が守られている。川俣町の有志によるまちおこしグループ「聚渓會(しゅうけいかい)」は、町教委と連携し、子どもたちが水生生物の調査などを行った成果を展示する場もつくっている。相談役の大泉明雄さん(61)は「広瀬川は町の中心を通っており、住民と一体化した川。町民が庭を見るように広瀬川を見ている」とふるさとの川への思いを語る。
 広瀬川では、伊達地方の小学生とともにサケの稚魚の放流を続けている団体もある。その一つの「広瀬川に鮭をもどす会」の会長二瓶富章さん(59)=福島市=は1996(平成8)年から毎年12月に伊達市と川俣町の9つの幼稚園・小学校にサケの卵を配り、ふ化後、2月上旬から子どもたちと一緒に稚魚の放流を続けている。これまで15回の放流で150万匹を放した。96年の初めての放流から4年後の2000年に広瀬川にサケが戻り、今年も11月17日に伊達市梁川町で遡上(そじょう)するサケの姿が確認された。
 二瓶さんは伊達市教委の依頼を受けて同市の小学校で出前授業を行っている。二瓶さんの元へは「生きた教材で学習する機会ができた」と小学校から感謝の手紙が届く。
 


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