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本県の豊かな水環境を象徴する猪苗代湖。次世代を担う子どもたちにこの美しい景観を守る心が受け継がれている
ふくしま発 水のあした
第5部 恵みの源【6】
2010年12月17日付
子どもたちの思い

「豊かな自然未来へ」 生態系保護作文で提言
 本県の豊かな水環境に、子どもたちは多くのことを学ぶ。水環境保全活動に取り組む県内の市民団体で構成する県水環境活動団体交流会事務局の長谷川潔さん(54)は、水辺で行う環境学習の時に見せる子どもたちの笑顔を忘れない。「子どもたちは最高の笑顔で水と戯れる。大人が壁をつくらなければ、水は優しく子どもたちを迎えてくれる」と話す。長谷川さんは、本県の豊かな水環境は、子どもたちに残すべき財産でもあることを示唆する。
 県は、子どもたちの水に対する思いを集うコンクールを開催している。毎年8月の「水の週間」に合わせた全日本中学生水の作文県コンクールは今年で32回目を迎え、県内14の中学校から、167編の応募があった。自分自身の体験を通して、家庭で実践できる水質浄化の取り組みや雨水の有効活用による節水、猪苗代湖の水環境の保全などを題材に、本県の豊かな水環境を引き継ぐ思いなどをつづった作品が寄せられた。
 「いつも五感で水を楽しみ、誰よりも水を身近に感じている」。同コンクールで優秀賞を受賞した郡山七中2年の荒井真愛さん(14)=郡山市=は、水泳部員。水との関わりを表現した。荒井さんは水の大切さについて「身近な水を汚すことは、川や海を汚すことにつながる。生態系のバランスも崩れて大きな代償として戻ってくることを忘れてはならない」と話す。
 「少しだけ時計の針を戻してやることで、自然は生命を呼び戻すことができる」。荒井さんと同じく優秀賞を受賞した西袋中3年の星結衣さん(15)=須賀川市=は「せせらぎを取り戻せ」と題し、豊かな自然が育む伏流水や湧き水の重要性を見つめ直し、ホタルが生息できる環境づくりへの活用を提言した。星さんは、毎日安全で十分な水を飲める環境に感謝した上で「人間は水がなければ生きていけないことを自覚し、水を大切に守らなければならない」と語る。
 本県の水環境について、荒井さんは「河川の源流を持つ源流県。県民の水の使い方が悪ければ、下流の人に悪い影響を与えてしまう」と述べ、星さんも「温泉など恵まれた水を持つ県だが、大切にしなければ汚れてしまう」と警鐘を鳴らす。次世代を担う子どもたちが、水のことを真剣に考え、水を大切に思う心を持ち続けている。(第5部おわり)
 


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