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福島遺産百選
勿来の関(いわき市)
【 17 】
歴史が生んだ歌枕の地

往来を阻んだ地、心和ませる地に

心和む

心和む

【震災後】桜の名所としても知られる。震災直後は、原発事故による放射能の影響から花見客はほとんどいなかったが、2年目の春は、大勢の人が満開の桜を楽しんだ

 江戸と仙台を結ぶ街道を古くから「浜街道」と呼び、その本県南端、茨城県境に勿来の関はある。白河の関、念珠ケ関(山形県)とともに奥州三古関の一つに数えられる。およそ1500年前の奈良時代に蝦夷(えみし)の南下を防ぐために設置され、9世紀に奥州への入り口が白河の関に一本化されるまでその機能を果たした。
 「来る勿(な)かれ」という人々の往来を阻む意味合いから、悲恋や別れを詠んだ和歌に、勿来の関はしばしば登場する。ふる里に残る「歌枕の地」を誇りに思う人は多い。
 現在は公園として整備され、源義家、和泉式部、小野小町、斎藤茂吉らの歌碑が並ぶ「詩歌の小径」がある。近くには文学歴史館や平安時代の代表的建築様式・寝殿造りの体験学習施設「吹風殿(すいふうでん)」がある。義家の「吹く風をなこその関と思へども…」にちなんで付けられた。
 震災では公園内にある傷痍軍人の碑や石灯籠が倒れた。
 (勿来関文学歴史館(電)0246・65・6166)


 いつまでも人の往来が絶えない公園へ
 鈴木 安喜(すずき・やすき)さん/県立勿来自然公園を守る会代表幹事
 勿来の関は桜の名所としても知られています。震災前は県内外から多くの人が爛漫(らんまん)に咲き薫る桜を楽しみに訪れていました。
 震災と原発事故直後、桜は例年と何も変わらずに花を咲かせていましたが、人の姿はなく、原発事故の影響の大きさを感じました。
 私たち県立勿来自然公園を守る会は、原発事故後も環境を維持しようと、公園内の清掃や除草など整備を続けました。事故から数カ月が過ぎた夏ごろには、双葉郡から避難している人が気分転換に公園内を散策したり、涼を求めて訪れるなど、徐々に来訪者が戻ってきました。
 いわき市南部は、もともと放射能の空間線量値が低く、それが広く理解されると、公園内で遊ぶ子どもたちの姿も見られるようになりました。
 公園内では歴史や文学に親しむだけでなく、ウオーキングやジョギングなどの運動、スケッチや写真撮影など文化活動も楽しめます。これからも多くの人に来てもらえるように整備を続け、魅力を発信していきます。

歴史と文学の地

歴史と文学の地

蝦夷の南下を防ぐために設置された勿来の関。人の往来を阻んだ関は、多くの歌人らに詠まれ文学の舞台でもある

ふくしま復興支援
 福島民友新聞社は、ふくしま復興支援プロジェクトの一環として、2012(平成24)年10月から13年5月まで、「ふる里の誇り ふたたび 福島遺産 百選 未来への歩み」を連載しました。
 「福島遺産 百選」は、県内それぞれの地域で「ふる里の誇り」として守り継がれてきた有形無形の宝を後世に残していこうと、福島民友新聞社が07年に県内外に呼びかけ、選定しました。
 しかし、計120件のうち31件の遺産が東日本大震災で被災しました。本プロジェクトは、あらためて地域の素晴らしい宝を再認識することで県民一人一人の誇りを取り戻し、「心の復興」につなげていくことを目的としたものです。

2013年1月29日付・福島民友新聞掲載
 
ふくしまが誇る美しい自然、歴史、文化
地域の宝を復興の力に
震災に耐えて
 東日本大震災に耐え、被害を免れた福島遺産もあります。これらは地域で県民に勇気と希望を与え続けています。

飯盛山とさざえ堂(会津若松市)

飯盛山とさざえ堂(会津若松市)

 戊辰戦争の悲劇、白虎隊自刃の地として知られ、隊士の墓には観光客が手向ける線香の煙が絶えない。山腹にあるさざえ堂は、高さ16・5メートル、六角三層のお堂。正式には「円通三匝(さんそう)」といい、1796(寛政8)年に建立された。(会津若松観光物産協会(電)0242・24・3000)


会津の伝統工芸・民芸(会津若松市)

会津の伝統工芸・民芸(会津若松市)

 会津若松を代表する伝統工芸品の会津漆器は、1590(天正18)年に領主となった蒲生氏郷が産業として奨励した。赤べこや絵ろうそく、会津木綿など、先人から受け継いださまざまな工芸・民芸が城下町を彩っている。(会津若松観光物産協会(電)0242・24・3000)


古殿八幡神社の流鏑馬(古殿町)

古殿八幡神社の流鏑馬(古殿町)

 鎌倉時代から続く神事。10月の第2日曜日に行われる本祭りでは、社務所屋根の千木(ちぎ)を目掛け鏑矢(かぶらや)を放つ笠懸(かさがけ)、馬を駆けさせながら三つの的を射る流鏑馬(やぶさめ)が奉納され、見物客でにぎわう。(古殿町産業振興課(電)0247・53・4620)

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