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二本松の菊人形
(二本松市)
丹精した3万株 華麗な時代絵巻
二本松の菊人形
二本松の菊人形。関係者の努力で多くの観光客が訪れている=霞ケ城公園
 菊花繚乱(りょうらん)。色鮮やかな菊が会場狭しと咲き誇り、菊の衣をまとった人形が華麗に時代絵巻を再現する様はこう表現される。会場内に漂う菊の香り。江戸時代の名城・霞ケ城公園を会場に、滝や池、秋の紅葉など自然公園の美しい景観を持つ菊人形は「日本最大」とも称され、全国から観菊客を出迎える。
 「二本松の菊人形」と銘打ったのは1955(昭和30)年が始まりで、第1回は10月29日から20日間の開催。県下俳句大会やのど自慢大会、郷土芸能コンクールなども同時開催され、第2回以降もしばらくはハワイアン演奏会、秋のファッションショー、モデル撮影会など多彩なイベントが組まれていた。
 徐々に規模を広げた菊人形も、2004年は記念すべき第50回。観光都市・二本松の代名詞にもなったイベントは、ついに半世紀を超えようとしている。
 会場内を埋める約3万株の菊は、菊人形を主催する二本松菊栄会と二本松菊花愛好会が栽培。菊栄会は同市高西に「菊畑」と呼ばれるビニールハウスを持っている。菊栽培技術長を務めるのはこの道30年という斎藤弘さん(78)。趣味で始めた菊栽培だが、80年に菊栄会が設立されたのを機に技術長となり、今では菊を中心に1年が回る毎日だという。
 「菊作りに失敗し、福井県まで菊を買いに行った」と裏話を語る斎藤さん。「菊は生き物」と言うように気温や日照時間で生育が左右されるが、「生育が良いと最高にうれしい」と”生きがい”を口にする。
 会場入り口に飾られる千輪咲と三色千輪咲。眠っている菊に夜中に電気を当てることで、つぼみを持たせず一冬を越す。まさに1年がかりの労作で、こうした苦労が菊の祭典を陰から支えている。
 「ピーク時は二本松ICから菊人形会場まで車がまったく動かなかった」と言われる菊人形。入場者数は95年の約45万人をピークに年々減少しているが、二本松の観光を支える大黒柱としての役割は依然として大きい。   
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 開催期間は10月1日から11月23日まで。東北自動車道二本松ICから車で約5分。JR二本松駅からはタクシーで約5分、徒歩約20分。午前9時から午後5時まで。入場料は大人1000円、小・中学生500円で、団体割引や身障者割引もある。
<30> 2003.10.24
 

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