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福島県文化センター、26年9月再開へ 福島県沖地震や老朽化で大規模改修

2025/09/13 09:40

来年9月1日に再開館する予定が発表されたとうほう・みんなの文化センター。利用者からは期待の声が聞かれた=12日午後

 2022年3月の福島県沖を震源とする地震からの復旧と老朽化した空調などの大規模改修のため休館している福島市のとうほう・みんなの文化センター(県文化センター)が、26年9月1日に再開館する予定となった。各種団体から早期再開を望む声が県に寄せられていた県内有数の施設が、24年7月の休館から2年2カ月ぶりに文化・芸術の息吹を取り戻す。

 県が12日、再開館の予定を発表した。改修工事が26年6月末までに完了する見通しとなり、工事完了後の開館準備に必要な期間を含め、ようやく開館の見通しが立った。ただ、工事の進展次第では再開館時期が変更となる可能性もあるとしている。

 県文化センターは、地震の影響で大ホール客席の天井が被災。合わせて老朽化が進んでいた館内空調の改修も必要となったため、休館し工事が行われている。

 県は大ホール以外の各施設について来年1月15日から、大ホールについては2月18日から利用申請の受け付けを始める方針。県は「早期の再開館を目指してきた。ようやく見通しがたったため、再開館に向けしっかりと準備を進めたい」(文化振興課)としている。

 「文化業界にとって朗報」

 「施設が改修されて新しくなるのは、文化業界にとって良い話題だ」。福島市民オーケストラ副団長の斎藤維章(これあき)さん(63)は再開館の予定が決まったことを歓迎する。

 文化センターが使えない今は、関係団体が他の会場を取り合う状況が続いていたという。斎藤さんは「選択肢が増えるのは良いこと。会場のキャパシティーに応じて、団体や公演ごとに住み分けができる」と胸をなで下ろした。新型コロナウイルス禍以降も、かつてほどの客足には回復していないといい、再開館が観客増の起爆剤になることを願う。

 福島市を中心に活動する福島演劇鑑賞会。同会事務局長の半沢久美子さん(61)は「再開館の知らせを楽しみにしていた」と声を弾ませた。以前は年に数回の利用があったといい、約1600人の会員を抱える同会にとって文化センターの収容人数は魅力的だ。

 期待の一方で、半沢さん「工事に入る判断が遅かったのでは」ともこぼした。被災後すぐに着工していれば「既に使えるようになっていただろう」と指摘。「もっと対応のスピードを上げてほしかった」と注文をつけた。

 県総合美術展覧会(県展)を主催する県美術家連盟の会長酒井昌之さん(84)は「文化センターに代わって展示会が開催できる場所を探すことに苦労した。開催しても作品の大きさや出品点数を制限するなど工夫が必要だったため再開はありがたい」と安堵(あんど)する。県芸術文化団体連合会長の杉昭重さん(74)は「再開のめどが立ったのはうれしいが同センターの老朽化が心配だ。皆さんが安全に利用できる新施設を希望する」と喜びと懸念の両面を語った。

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