浅尾慶一郎環境相は26日の閣議後記者会見で、東京電力福島第1原発事故に伴う除染で出た土壌のうち、放射性物質濃度が比較的低く、再生利用に使う土の呼称を「復興再生土」に決めたと発表した。最終処分の対象となる濃度が比較的高い土と呼び方を明確に区分することで、安全性に関する国民理解の醸成につなげる狙いがある。
政府は今後、復興再生利用に関する資料などで復興再生土の呼称を使う。浅尾氏は「再生利用に用いる土は資源だ」と強調。政府はこれまで再生利用の対象も含め「除去土壌」との呼称を使ってきたが、浅尾氏は「復興再生土の呼称の方が理解を得られるのではないかと考える」との見解を示した。
政府は除染土壌などの県外最終処分量を減らすため、放射性セシウム濃度が1キロ当たり8000ベクレル以下の土を再生利用する方針。県外で再生利用を目的とした土の使用は7月に首相官邸で始まり、東京・霞が関の中央省庁でも利用する取り組みが進んでいる。政府は再生利用先を拡大し、東京以外にある府省庁の分庁舎や出先機関などでも使う方針だが、周辺住民の理解が得られるかどうかが焦点となっている。
再生利用対象の土の名称を巡っては、与党が東日本大震災からの復興に関する第14次提言で検討するよう要求。22日に開かれた環境省の有識者会議では同省側が案を示し、異論は出なかった。