放射線の使いすぎは問題

 

 病気の診断から治療まで、現代の医療ではさまざまな場面で放射線が用いられます。医療での放射線の利用は、世界各国で毎年増加していますが、日本は世界的に見ても医療で用いられる放射線の量が非常に多い国であることが知られています。

 中でもCT検査は、医療の中で使われる放射線の多くの部分を占めます。日本はアメリカと並び、世界の中でも国内にCT装置を多く保有しています。ヨーロッパ諸国と比べるとその数は5倍以上です。加えて、技術の進歩に伴い短時間で全身をくまなく撮影することができるようになりました。そんなこともあり近年、国内でのCT検査は、検査の総数、患者さんあたりの検査の件数がいずれも増えています。

 一般的に、CT検査では放射線をより多く使って撮影すれば、より画像が鮮明になり、より細かく身体の中を検査できるようになる関係があります。検査する立場からは、しっかり放射線を使った鮮明な画像が好ましいです。その一方で、画像の鮮明さのみを追い求めて、放射線をあまり多く使いすぎるのも問題です。

 放射線を使いすぎることなく、正確な診断のために十分な高画質の画像を撮影する。そのための技術開発が今も進んでいます。