小児期がん治療、影響なし

 

 白血病などの血液のがんや、神経のもとになる細胞からできるがん、精子や卵子になる前の細胞からできるがんなど、いくつかの小児期におこるがんがあることが知られています。中には大人ではまれなものもあります。

 そのような小児期のがんは、発見が難しいことも多いのですが、大人のがんに比べて抗がん剤や放射線による治療の効果が高いのも特徴です。このような、小児期のがんの治療で放射線を用いた方にご協力いただき、治療された方のお子さんに、染色体の異常や遺伝する病気、奇形が増えていないかが調べられました。

 アメリカとカナダの報告では、数千人の小児期のがん治療をされたお子さんと、治療された方の兄弟のお子さんの状態が比較され、染色体の異常や遺伝する病気、奇形の頻度は変わらなかったことが知られています。

 このような治療に使う放射線の量は、身体の一部に当てるものが多いとはいえ、今回の原発事故に伴って受けた放射線の量よりも桁違いに多いです。小児期のがんの治療を受けた方々の協力で知ることができたこのような結果も、私たちが今回の事故の放射線による遺伝的な影響を危惧する状況にないことを示す根拠となっています。