健康保つ甲状腺ホルモン

 

 甲状腺は、首の真ん中からやや下(のどぼとけの下)にある、10~20グラムぐらいの小さな臓器です。羽を広げたチョウのような形をしていて、空気の通り道である気管を取り囲んでいます。大きさは人によって異なりますので、甲状腺の大きい方であれば体の表面から触れることもできます。

 甲状腺は食物などに含まれる「ヨウ素」を原材料として、甲状腺ホルモンを作っており、私たちの生活に常に欠かせません。

 甲状腺ホルモンは、熱を発生させて汗をかいたり、筋肉や胃腸を活発に動かしたりと、エネルギー代謝の維持や、タンパク質の合成といった役割と、子どもの身体や脳の発育・発達を促す役割を持っています。

 ホルモンの量は多くなりすぎても、少なくなりすぎても不調が出ます。

 さまざまな原因がありますが、甲状腺ホルモンの分泌が減ってしまうと、疲れやすいとかむくんだりといった甲状腺機能低下症(橋本病)という状態になったり、逆にホルモンの分泌が増えると、イライラしたり、動悸(どうき)や息切れ、手の震えなど甲状腺機能亢進(こうしん)症(バセドー病)という状態になったりします。

 毎日の生活で作られて利用されるホルモンは、その毎日のバランスが保たれることがとても大切です。