乳頭がん治療、基本は手術

 

 甲状腺は、首の真ん中からやや下(のどぼとけの下)にある、10~20グラムぐらいの小さなチョウの形をした臓器です。

 甲状腺の一部にしこりができる病気のうち、悪性のものができることを甲状腺がんといいます。いくつかの種類がありますが、放射線と関係する甲状腺がんの多くは「乳頭がん」と呼ばれる種類のがんです。乳頭というのは、細胞の見た目から付けられた名前であり、乳がんとは関係ありません。

 甲状腺乳頭がんの治療の基本は手術です。手術は、がんの広がり具合によって、甲状腺を全部取り除く場合、片側半分や一部を残す場合、周りにある臓器の一部やリンパ節も取り除く場合があります。

 手術以外の方法としては、放射性ヨードカプセルというものを飲んでいただき、がん細胞に放射性物質を取り込ませることによって放射線を浴びせるという方法や、分子標的薬という新しいタイプの抗がん剤が選択されることもあります。非常に小さながんでは、手術をすぐに行わず、厳重に経過を見る場合もあります。

 先日ご紹介したように、乳頭がんは一般的に非常に予後(治療後の経過)の良いがんです。ほかの臓器のがんに比べても、根治できるかどうかと、患者さん自身の生活の質を考えた治療が重要になります。一人一人に合わせて、きめ細かく治療方針を決めていかないといけないがんです。