より実態に即した報告書

 

 今回の原発事故による放射線の被ばく量とその健康影響について、海外の国際機関からも評価報告書が発表されています。その中で最も代表的なのが、国連の委員会(UNSCEAR)からの報告書です。先月に「2020年レポート」として最新版が発表され、将来被ばくが直接の原因となり、がんが増えるなどの健康影響が見られる可能性は低いと結論づけられました。

 被ばくには外部被ばくと内部被ばくがあります。報告書における被ばく量については、例えば内部被ばくだと、食品の汚染が○○ベクレルで、それを1日の食事で○○グラムくらい食べるとして、被ばく量は○○シーベルトだ、とか、事故直後の空気中の放射性物質は○○ベクレルで、1回の呼吸で吸う空気の量は○○リットルくらいだから、被ばく量は○○シーベルトだ、といったように、放射線を浴びる経路ごとに、放射性物質の測定結果に基づいて推定するという方法がとられています。

 以前の報告書では、その当時データが十分でなかったところについて、数字を厳しめに見積もり、被ばく量が過小評価(実際よりも低く見積もられないように)にならないよう注意した計算が行われていました。また将来の被ばく量については、チェルノブイリなどの過去の経験に基づいて計算されていました。

 今回の報告書は、時間がたった分、実際に計測された数値がより用いられ、以前のものより、より実態に即した結果が示されています。