子への突然変異見られず

 

 今年は福島原発事故が起きてから10年になりますが、1986年4月26日に起きたチェルノブイリ原発事故から35年になります。

 先日、チェルノブイリ原発事故の放射線被ばくによる、遺伝への影響を調べた調査結果が、世界最高峰の科学雑誌の一つである「サイエンス」誌に発表されました。

 チェルノブイリ原発自体への対応や、放射能汚染によって放射線を多く浴びた方々と、そのお子さん130人にご協力いただき、全ゲノムシーケンスという方法で、人間の全ての設計図情報が読み込まれました。そして、ご両親とお子さんの3人の設計図情報をお互いに比べることで、ご両親が浴びた放射線によって、より多くの突然変異がお子さんに起こっていないかを調べています。

 結果として、お子さんにより多くの突然変異が起こっていることはありませんでした。チェルノブイリ原発事故による放射線被ばくは、今回の原発事故より桁違いに多い状況にありました。そのような状況で、今回の結果のように遺伝的な影響が見られなかったことは、福島原発事故による放射線で、子どもへの遺伝的な影響を危惧する状況にないことを強く示唆しています。