原爆被ばく遺伝影響なし

 

 今年は広島、長崎での原爆投下から76年になります。先日、広島と長崎の原爆投下によって放射線を浴びた方の子ども(いわゆる被ばく2世)の遺伝影響について調べた最新の報告が発表されました。

 これまで、原爆による親の被ばくとその子どもの先天的な異常の関係については、1956年、81年、90年と3回報告されてきましたが、福島原発事故後に放射線による遺伝的な影響に関心が高まったため、最新の被ばく量の評価や計算の手法を見直して4回目の報告がなされました。

 この報告では、1948年から54年に調べた約7万人の新生児の障害や早期の死亡と、両親の被ばく量との関連を調べています。これまで3回の結果は、被ばくによって遺伝的な影響は見えないという結果でしたが、今回の結果も過去3回と大きく変わらず、その結論が変わることはありませんでした。

 原爆によって浴びた放射線の量は、今回の原発事故とは大きく違います。先週ご紹介したチェルノブイリから35年たって調べられた結果も含めて、今回の原発事故の放射線による遺伝的な影響は、それを危惧するような状況にはありません。