「DNA」複製し細胞増える

 

 DNA(ディーエヌエー)は生物が生きていくために必要な全ての設計図の原本を集めた、巨大な辞典です。A・T・G・Cという四つの文字だけで書かれていますが、人間ではこの四つの文字が約30億個並んでいます。DNAは左手と右手のように、対となるもの二つがセットになって存在し、ハシゴをねじったような構造をしています。

 私たちの体を構成する細胞は、必要に応じて分裂し増えていきます。細胞の中の核という部分にDNAは存在しますが、このDNAは設計図の原本ですから、細胞が分裂する際、それぞれの分裂した先の細胞のために設計図の原本のコピーが必要です。

 これをDNAの複製と言います。実際には、ハシゴを左側と右側に引き離し、それぞれを鋳型にして、もう片方を作ることをします。ハシゴの右側を使って、ハシゴの左側を一段一段作り、ハシゴを完成させます。最終的に、右側を鋳型にして左側を、左側を鋳型にして右側を作り、トータルとして一つの原本を二つに複製するのです。

 この複製にはたくさんのタンパク質が関与しています。ハシゴを左側と右側に引き離すためのもの、ハシゴの段を作るためのもの、ハシゴの段同士をつなげるためのものなどです。このようなDNAの複製の方法は、DNAが傷つき、ハシゴの一部を修復するために行われる方法とやり方は同じです。