紫外線、喫煙もDNA損傷

 

 DNA(ディーエヌエー)は生物が生きていくために必要な全ての設計図の原本を集めた、巨大な辞典です。DNAは左手と右手のように、対となるもの二つがセットになって存在し、ハシゴをねじったような構造をしています。

 前回、もしDNAが傷を受けても、さまざまな方法で修復ができることを紹介しました。放射線被ばくはDNAを傷つけてしまう原因の一つです。しかしDNAを傷つける原因は放射線だけではありません。紫外線、食物の中の発がん物質や喫煙もそうですし、環境中の化学物質、薬剤、活性酸素、ストレスなどありとあらゆるものがその原因となります。

 そのため、1日1細胞当たり、1万カ所から100万カ所も傷を受けています。その傷を逐次見つけて、傷の種類に合わせて細胞はDNAを修復しているのです。

 このように常にDNAはさまざまな原因によって傷を受ける状態にあります。そのため、低い線量の放射線によるDNA損傷は、身体の代謝に伴うDNA損傷に比べて圧倒的に少ないことが知られています。