甲状腺がん進行ゆっくり

 

 県民健康調査の一つである「甲状腺検査」は、震災時点において、本県に在住していた18歳以下の全県民を対象に、現在の甲状腺の状況を見守るための検査です。

 検査を受けることは強制ではなく、希望される方が受ける検査となります。そのため、検査を受けるかどうかについては、それぞれがさまざまな情報から判断していただく必要があります。

 デメリットの一つとして、将来に日常生活や命に影響を及ぼすことのないがんを発見し、治療する可能性があることを紹介しました。がんなのに、日常生活や命に影響を及ぼさないと聞くと、そんなものがあるのか? と思うかもしれません。肺がんや大腸がん、子宮がんなど、多くのがんは通常、月の単位で進行します。そのため、見つかれば手術や抗がん剤、放射線治療などを行う必要があります。

 その一方で、甲状腺がんはその全てがそうではないものの、進行がゆっくりのものが多いことが知られています。

 60年間に世界各地25カ国で、甲状腺がん以外の理由で亡くなった方、1万人以上に病理解剖が行われた際、その10人に1人程度に甲状腺がんが見つかったことが報告されています。報告によってこの頻度は異なるものの、多くの方が小さな甲状腺がんを持ちながら、そのがん自体が寿命に影響していないことが指摘されています。