古い時計文字盤に使用例

 

 目覚まし時計の文字盤に光が当たっていると、電気を消してもその後少しの間は光るような時計をお持ちの方も多いのではないでしょうか。これは、文字盤に塗られている蛍光物質が光のエネルギーを吸収し、その後、吸収したエネルギーを蛍光物質が少しずつ放出しているのです。

 現在、市販されている光る時計の文字盤は、このように時計の「外側」からの光のエネルギーを吸収し、その後発光するという仕組みが使われ、放射性物質は使われていません。

 その一方、古い一部の時計では、光る文字盤に放射性物質と蛍光物質を混ぜて使用している物があります。放射性物質が出す放射線(エネルギー)を蛍光物質が吸収し、そのエネルギーを光として放出するのです。蛍光物質へのエネルギーを、時計の「内側」の放射性物質から供給しているのです。

 この文字盤に使われている放射性物質がトリチウムです。トリチウムは、核実験や原子力施設で作られる人工の放射性物質である一方、自然界で作られる天然の放射性物質でもあります。市販されている物の中では、トリチウムを含んでいるのは時計のみであり、含まれている物は、時計の文字盤のところにトリチウムの頭文字のTやT25と表示されています。