放出量が多い再処理施設

 

 廃炉作業が進められている原発周囲の敷地内タンクには、放射性の水素である「トリチウム」が保管されています。トリチウムは最も軽い元素である水素の仲間です。原発の原子炉の中では、電気をつくる反応を起こしている途中に、さまざまな過程でトリチウムができるのでした。

 原子炉の形は世界中でいくつかの種類があり、原子炉の形によって、電気をつくる反応の起こし方が異なります。そのためトリチウムの発生量が異なり、放出されるトリチウムの量が原子炉の形によって、数十倍から数百倍異なることが知られています。

 日本では、PWRとBWRという2種類の原子炉が主に使われていますが、福島第1原発はトリチウムの放出量の少ない方の原子炉(BWR)が用いられていました。

 その一方、原発よりトリチウムの放出量が多いのが、使用済み核燃料再処理施設です。世界中で有名なものには、フランスのラ・アーグ再処理施設や、イギリスのセラフィールド再処理施設があります。

 フランスの再処理施設では、毎年、事故前の福島第1原発から毎年放出されていたトリチウムの、合計で数千倍のトリチウムが液体や気体の形で放出されていたことが知られています。