緯度や高度で異なる線量

 

 放射線を受けることによる身体への影響は、放射線があるかないかではなく、その量の問題です。私たちの周りには、さまざまな種類の自然界の放射線が存在し、そこから日常的に私たちはある程度の放射線を浴びています。

 大きくは、〈1〉宇宙から降り注ぐ宇宙線によるもの〈2〉食品中に含まれている放射性物質によるもの〈3〉大地から出る放射線によるもの〈4〉空気中に含まれるラドンなどの放射性物質によるもの―の四つがあります。

 宇宙から降り注ぐ放射線である宇宙線は、大気と反応することでトリチウムが作られる原因でもありました。この宇宙からの放射線による影響は、トリチウムと同じく、緯度が高いほど大きいことが知られています。また、高度が高いほど影響が大きいです。

 そのため、日本国内では、最大値は富士山の山頂、最小値は波照間島(日本最南端の有人島)といわれています。

 世界の国別で見ると、最小値はシンガポール(赤道近くにあるため)であり、最高値は南米のボリビア(高度が高いため)です。1年間の宇宙からの放射線の量は、シンガポールで0・25ミリシーベルト、ボリビアで0・92ミリシーベルトと4倍程度異なることが知られています。