国内広がる廃棄物再利用

 

 今回事故を起こした東京電力福島第1原発だけでなく、日本中の多くの原発で廃炉が進んでいます。廃炉に伴って生じるごみや廃棄物のうち、約7%が放射性物質の存在を考慮しなければならないものですが、その7%の全てが低レベル放射性廃棄物として扱われるわけではありませんでした。

 その7%のうちの約7~8割は含まれる放射性物質が非常にわずかで、身体への影響を十分に無視できるものです。そのようなものは、放射性物質が一定レベル以下であることが確認されれば、放射性廃棄物から除外され、普通の廃棄物として処分したり、資源として再利用したりできるようになります。このような制度のことを、クリアランス制度と呼ぶのでした。

 これは、資源の有効利用や廃棄物の減容化、廃炉の円滑化を目指して作られた制度ですが、資源の再利用は既に日本の各地で行われています。例えば福井県では、クリアランス物を使って越前水仙を模して作られた照明灯が実際に通学路などにも設置されています。

 今後、日本全国の廃炉が進むに従って廃棄物の量は膨大となり、クリアランス対象物も年々増加します。限られた資源の中で現在の消費を続けていくならば、このような資源の有効利用は今後ますます必要になってくるでしょう。