大倉社長コラム〈2〉WALK TO THE DREAM 選手の退団・移籍

 

 ◆いわきスポーツクラブ・大倉智社長

 ◆適正人材でチーム再編

 コラムは2回目にして、早くも選手の退団、移籍という話題に入る。プロの世界は対等だから、契約し、1年間技術を上げて対価をもらう。だから、クラブのフロントから「あなたいりません」と言われたら、それは仕方がないことだ。そこにまどろこしい人間的な駆け引きはいらない。

 なぜ、この話をするのか。それはいわきFCもまた、「魂の息吹くフットボール」の実現のため、30人の選手の中で誰が適正な人材なのかを考え、チームを再編成するからだ。

 まだ、誕生したばかりで1年目の結果に不満はない。ただ、10点取って勝つことが全てではなく、選手がプレーや生活、練習、仕事に充実して向き合っているかなどを判断し、再編成しないと、クラブのカルチャーは生まれない。チームは生もので今年が良ければ来年もいいわけではない。現状維持は後退を意味する。長い先を考えた時に文化、カルチャー、伝統をつくらなければならない。

 チーム全体のレベルが上がる中で、ついてくることができない選手に「サッカー選手を辞めなさい」「社会人として働きなさい」と言ってあげることが僕の仕事だ。縁があり、コンバインで集まってくれた選手だからこそ、彼らの人生へのアドバイスをしっかり言ってあげたい。

 いわきFCの選手はプロではない。サッカーを辞めても物流センター「ドームいわきベース(DIB)」で働くことができる。ただ、いわきFCでサッカーはできないと伝える。DIBで働きながら、別のチームを、サッカーをやれる環境を探してあげたい。それでもDIBの仕事を辞め、離れる選手がいるかもしれない。しかし、そういうことを繰り返しながら、クラブは大きくなる。そのために僕は覚悟を持ってやる。

 おおくら・さとし 川崎市出身。早大商学部卒。現役時はJリーグの柏レイソル、ジュビロ磐田、ブランメル仙台(現ベガルタ仙台)でFWとして活躍。引退後はスペイン・バルセロナに留学しスポーツマーケティングを学ぶ。帰国後はセレッソ大阪チーム統括ディレクター、湘南ベルマーレGM、社長などを歴任し、昨年12月から現職。47歳。