大倉社長コラム〈9〉WALK TO THE DREAM 天皇杯

 

 ◆いわきスポーツクラブ・大倉智社長

 ◆全国へ飛躍の好機に

 今回は天皇杯の話。天皇杯決勝は元日と決まっていた。僕はセレッソ大阪のフロントとして、決勝の舞台を経験した。J1から都道府県リーグまでカテゴリーの区別なく、誰でも参加できる公平な大会は、いわきFCにとって全国に名前をとどろかすための唯一のチャンスでもある。

 今年はW杯予選の日程などを踏まえ、第22回県選手権大会を兼ねた第97回天皇杯全日本選手権県代表決定戦は2月から熱き戦いが始まった。前回大会準優勝のいわきFCは今月26日の4回戦から登場する。1月中旬に新体制が始動し、公式戦初戦の「3・26」を一つの照準としてきた。

 調整は順調で体作りを中心とした練習メニューを続けている。選手の平均値ではスクワットが10キロ、ベンチプレスが8~10キロほど、より重い数値が持てるようになった。積み重ねたものを初戦から発揮したい。

 昨年8月のJ3・福島ユナイテッドFCとの決勝は本当に盛り上がった。県サッカー史にも新たなページを刻むことができたが、延長の末、敗れ、悔しい思いに終わった。今年は福島ユナイテッドに勝ちたい。フィジカル的には対等にできるので、シビアなマークなど細部に対応し、冷静に自分たちの力を出せれば、J2、J1のチームにも今年は十分に勝てる戦力が整っていると思っている。「魂の息吹くフットボール」がどこまで通用するのか、今の現在地が見たい。

 一つ一つ勝ち上がり、福島ユナイテッドと決勝で戦う。哲学と哲学がぶつかり合う試合になる。福島ユナイテッドの田坂和昭監督、いわきFCの田村雄三監督は共に湘南ベルマーレで一時代を築いた選手だった。必ず面白い試合になる。本県のサッカーの発展に寄与し、子どもたちの希望にもなる試合を約束したい。

 おおくら・さとし 川崎市出身。早大商学部卒。現役時はJリーグの柏レイソルやジュビロ磐田などでFWで活躍。引退後はセレッソ大阪チーム統括ディレクター、湘南ベルマーレGM、社長などを歴任し、一昨年12月から現職。47歳。