大倉社長コラム〈16〉WALK TO THE DREAM 商業施設複合型

 

 ◆いわきスポーツクラブ・大倉智社長

 ◆地域と結ぶ新たな価値

 いわきFCのクラブハウス「いわきFCパーク」が全面オープンした。特長は飲食店などが入る国内初の形態「商業施設複合型」にしたことだ。

 将来のスタジアムビジネスと地域経済活性化を考えたとき、スポーツと地域を結び付ける新しい価値、新しい市場が必要になる。それが商業施設だった。

 商業施設にしたことにより、クラブハウスの概念を越えて、老若男女が訪れ地域に愛される施設になれば、サッカーを知らない人にも「いわきFC」を知ってもらうきっかけにもなる。結果、市民へのロイヤルティー(愛着)が深まると考えた。

 商業施設複合型の参考事例は市街地に交流拠点を置き、スポーツを核としたまちづくりを進める海外の先進都市だ。全ての人が平等に楽しめる空間で、将来的に地域や未来ある子どもたちに還元できるような経済の好循環を生み出したい。

 いわきFCパークでは、カフェで飲食を楽しみながら、チーム専用グラウンド「いわきFCフィールド」を一望することができる。トップチームの活動だけでなく、アカデミーに参加している子どもたちを家族はカフェから見守ることも可能だ。

 また、フィールドを地域イベントや健康教室の会場として開放して、訪れた市民がパークを活用する。地域の方々の運動の場になることはもちろん、交流の場としても価値が生まれる。

 パークが提供するサービスやイベントによって、サッカー以外にもさまざまな新しい価値を生み出す。たくさんの人に利用していただくことで、ロイヤルティーが高まり地域と一体で成長していくことができれば、「スポーツを通じて、いわき市を東北一の都市にする」という理念を形にする場所になる。

 おおくら・さとし 川崎市出身。早大商学部卒。現役時はJリーグの柏レイソルやジュビロ磐田などでFWで活躍。引退後はセレッソ大阪チーム統括ディレクター、湘南ベルマーレGM、社長などを歴任し、一昨年12月から現職。48歳。