大倉社長コラム〈74〉WALK TO THE DREAM J3挑戦

 

 ◆いわきスポーツクラブ・大倉智社長

 ◆来場者熱狂する空間に

 2022年はいわきがJ3に挑戦する年となる。J2昇格ありきではなく、まずは17回のホームゲームで訪れた人が熱狂する空間をつくり、目の前の選手が成長し、躍動する姿を見せたい。それが最大の目標だ。

 注目される中、お客さまに対するホスピタリティー(おもてなし)の精神が重要になる。地域の魅力を発信する最大のチャンスであり、経済効果も生まれてくるかもしれない。対応するスタッフの姿勢が大切だ。当初からクラブのあるべき姿を描き、理念先行で歩んできたが、経営面では集客が今年の大きなテーマになると思う。

 昨季最終戦で2500人の来場者を見て「いわきFCが希望や未来を感じてもらえる存在になりつつあるのかな」と感じた。「いわき」というエンブレムを持ってJに参入するのは間違いないが、双葉郡や浜通り、福島県を背負わなければならない、という意識も芽生えている。良い意味でこれまでの6年間と今後10年間は変わっていくのかもしれない。

 チーム面では、昇格したからといってJリーグ所属選手中心の補強はしなかった。掲げてきた「人づくり」の目標通り、成長の意欲を持つ選手中心の編成を変えるつもりはない。10日から新たにチームが始動したが、選手たちにはシーズン終了後の成長した姿を思い描いて戦ってほしい。

 村主(すぐり)博正新監督に加え、新たにスプリントコーチを招請した。新シーズンは「90分間止まらない、倒れない」サッカーに、走力と村主監督の経験を加えることでさらに進化していくという確信がある。

 必ず面白いといえる試合をし、熱狂できる空間をつくる。試合を生で見て体感してもらいたい。多くの人にスタジアムを訪れ、選手を後押ししてほしい。

 おおくら・さとし 川崎市出身。早大商学部卒。現役時はJリーグの柏レイソルやジュビロ磐田などでFWで活躍。引退後はセレッソ大阪チーム統括ディレクター、湘南ベルマーレGM、社長などを歴任し、2015年12月から現職。52歳