田村SDコラム〈7〉WALK TO THE DREAM スポーツディレクター

 

 ◆いわきFC・田村雄三SD

 ◆風通し良く一体感醸成

 スポーツディレクター(SD)に就いて、楽しくも忙しい日々を送っている。スポーツ部門の責任者としてトップチームからアカデミーまでを見なければならず、選手の契約や評価、クラブ経営に関わる部分までとやることは多い。

 監督の時も選手をしっかり見てきたが、評価する立場としてスカウティングも含めた基準が必要だ。アカデミーでも年代ごとに達成目標と、そのためにやらなければならないことを(より具体的に)つくらなければならない。

 さらに子どもの体力や運動能力向上を目指すプログラム「いわきスポーツアスレチックアカデミー(ISAA)」事業も任された。新型コロナウイルスの感染状況をみながら子どもたちのところへ選手を派遣したいと考えている。

 自分が監督を経験して感じたことあるので、村主博正監督を支えながら現場でストレスがないようにしたい。その時々の心情がなんとなく分かるので、寄り添いながら自信をもって指揮できるよう心掛けている。

 普通のチームでは現場とフロントと線引きした組織となるだろうが、現場のことを分からなければ、お客やスポンサーを集めることができないと思う。双方の真ん中で風通しを良くして一体感をうまくつくる。それが自分の役割だと考える。

 自分が心を開いて選手の立場まで降りなければ通じないこと、分からないことがある。SDとして決定権があるのは確かだが、立場や役職を意識せずにクラブと選手の間に入り、勝利へ向かってうまく回ることが理想だ。

 選手にはJリーグの舞台を楽しんでもらいたい。いわきはJリーグで一番下のチーム。構えることなく果敢に挑戦してほしい。そのために選手がしっかりとプレーできる環境を整える。

 たむら・ゆうぞう 群馬県出身、中央大卒。2005年に湘南ベルマーレ入団。現役時代のポジションはMF。08年から選手会長を務めた。10年に引退後、湘南ベルマーレ強化部を経て15年にいわきFC強化部入り、17~21年に監督を務めた。39歳。