大倉社長コラム〈76〉WALK TO THE DREAM 初ものづくしの1年

 

 ◆いわきスポーツクラブ・大倉智社長

 ◆共に変化を楽しみたい

 初ものづくしの1年が始まろうとしている。クラブ、選手、監督、サポーター、地域...。それぞれがそれぞれにとっての「初めて」を経験することになる。チームの勝ち負けよりも、「初めて」が生むさまざまな変化を楽しみにしている気持ちが強い。

 クラブにとっては初めてのJリーグへの挑戦、ホームタウンのいわき市と双葉郡にとっては初のプロスポーツクラブの船出となる。多くの選手は夢だったJリーグのピッチに初めて立つし、村主博正監督は監督の資格を得て以来、長年温めてきた自身のサッカーを初めて表現することとなる。ただ、選手に関してはスタメン争いが最終段階に入っている。今はJリーグへの思い入れよりもチーム内の競争に勝つことへ意識が集中しているかもしれない。

 いつも多くのいわきサポーターが会場に詰め掛けてくれるが、今季からは相手サポーターも多く来場する。特にアウェー戦は会場の雰囲気も昨年とは違うだろう。これもサポーター、選手にとって初めてのことだ。完全アウェーの雰囲気になる試合もあるはずだ。開幕戦で乗り込む鹿児島にも多くの鹿児島サポーターが入ると聞いている。その中で選手たちが緊張してしまうか、落ち着いてプレーできるかどうかは分からない。ピッチに立つことを考えただけでも身が震える気持ちは十分に想像できる。

 Jリーグの経験はほかのクラブよりない一方、技術やパワーで負けていると思っていない。球際や走力、気持ちで負けないことなど、日ごろ徹底していることを実行できれば、おのずと勝利は見えてくるはずだ。いわきのサポーターは、私たちが今までさまざまな挑戦を続けてきたことを知ってくれている。初ものづくしの今季も一緒に楽しんで乗り越えてくれれば幸いだ。

 おおくら・さとし 川崎市出身。早大商学部卒。現役時はJリーグの柏レイソルやジュビロ磐田などでFWで活躍。引退後はセレッソ大阪チーム統括ディレクター、湘南ベルマーレGM、社長などを歴任し、2015年12月から現職。52歳。