大倉社長コラム〈77〉WALK TO THE DREAM 好調の要因

 

 ◆いわきスポーツクラブ・大倉智社長

 ◆走り勝つ 5戦全て先制

 開幕5試合を戦って3勝2分けの2位。選手が本来の実力を出すことができれば十分戦えるとは思っていたが、早くから順調な戦いを見せてくれていて、うれしく思う。課題や成長も見られていて、今後の戦いも楽しみだ。

 完全アウェーの開幕戦で引き分けることができたことは大きかった。Jの舞台へ抱いていた不安を「できるんじゃないか」という自信に変えられたと思う。

 開幕戦ではボールをつなげるところで大きく蹴り出すなど、選手の動きに固さがあった。ただ、その後は本来の力を出して勝ち点を重ねることができている。

 好調の要因は、5試合を通して相手より走り戦えていることだ。特に前半はその強みを生かして相手を圧倒でき、全試合で先制に成功した。

 選手の積極性や躍動感も昨年から高まっているように感じる。村主博正監督の掲げるシンプルで徹底したサッカーが、選手の迷いをなくさせているのではないだろうか。

 2点目をなかなか決められないことが課題だったが、直近の試合では改善が見られた。決めるべきところを決めないと、痛い目を見ることになるのがJリーグ。早くに2点目を決めて、余裕のある試合運びができれば勝率も高まる。

 今後はどのクラブもいわき対策を強めてくるだろう。それでもやることは変えず、自分たちのフットボールを追求してほしい。やり続けないと課題も限界も見えてこない。

 今回、選手やスタッフに新型コロナウイルスの感染者が出たことは勝敗の上でも決して良いことではない。ただ、出場できない選手がいるということは出場機会が回ってきた選手もいるということ。これを契機にチーム内の競争が活発になることを期待している。

 おおくら・さとし 川崎市出身。早大商学部卒。現役時はJリーグの柏レイソルやジュビロ磐田などでFWで活躍。引退後はセレッソ大阪チーム統括ディレクター、湘南ベルマーレGM、社長などを歴任し、2015年12月から現職。52歳。