田村SDコラム〈10〉WALK TO THE DREAM リーグ序盤戦終了

 

 ◆いわきFC・田村雄三SD

 ◆誰一人満足していない

 開幕からリーグ日程の3分の1を終え、8勝3分け1敗の首位。J3参入初年度で対戦相手もいわきのデータがなく、自分たちも蓋を開けてみなければどう戦っていくべきか分からない部分もあった。その中で良いスタートが切れたのは「いわきFCらしいサッカー」ができているからだと思う。

 しかし、6節の今治戦ではうまく対策され、敗戦を喫した。データや情報が増えてくる中で、相手が取る対策に対して自分たちがどう対応していくかが求められる。均衡したり、得点機会がないなど、さまざまな展開のゲームが出てくる中でどう勝ちきるか。それ以上に、自分たちのサッカーをどれだけ発揮できるかが重要だ。トレーニング強度や戦術面を含め、いわきのサッカーを積み上げる時期に入っている。

 序盤戦はスターティングメンバーの多くを固定し、特にCBと両SB、ボランチに変更は無かった。バックラインが安定してプレーできていることは好調の要因だった。前線に関しても、得点以外の仕事を含めて、求められるプレーを体現できている選手が多かったと感じている。

 しかし、これからシーズンが進む中で、新たに活躍する選手が出てくることは必須。最初から最後まで同じメンバーで戦うことはない。チームに刺激を与えるのが、けがから復帰した選手なのか、出場機会がなかった選手なのか。現在活躍している選手も相手に対策を取られる中でどう対処するか、ポジションを守るために成長出来るかが問われる。強い集団にチーム内競争は必要不可欠だ。

 「結果が出ているからOK」ではなく、どのゲームでも常に課題やミスへの対処を考えている。誰一人に対しても満足していないし、選手自身も誰一人満足していないはずだ。常に成長しようという思いが、クラブの力につながっている。

 たむら・ゆうぞう 群馬県出身、中央大卒。2005年に湘南ベルマーレ入団。現役時代のポジションはMF。08年から選手会長を務めた。10年に引退後、湘南ベルマーレ強化部を経て15年にいわきFC強化部入り、17~21年に監督を務めた。39歳。